「カーブの打ち方」

NY株式市場は大幅下落。
特にNYダウは一時400ドル以上の下落幅となる場面もあり年初来の上昇を帳消しにした。
背景は米中貿易摩擦問題。
トランプ大統領が2000億ドル規模の中国製品に対し10%の追加関税を課すと警告。
中国も断固として反撃するとコメント。
市場心理は再度ネガティブに傾いた。
「貿易を巡る一連の発言が単なる交渉戦術ではない可能性に市場は気付き始めている」という解釈だ。
一方でゴールドマン・サックスCEOは「トランプ大統領の対中関税を巡る警告は心中の約束でない。
交渉の駆け引きである公算が大きいがリスクの高い報復的な戦略だ。
ただ経済を崩壊に追いやるとは疑っていない」とコメントしている。
VIX(恐怖)指数は一時約3週間ぶりの水準の14.68に上昇。
その後13.35に低下した。
ボーイングやキャタピラー、半導体セクターなどが値を消すなか、
中小型株指数のラッセル2000指数は0.1%上昇。
米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から国債利回りは低下。
10年債利回りは一時2.853%まで低下し約3週間ぶりの水準まで低下。
2年債利回りは一時2.496%と約2週間ぶりの低水準となった。
朝方発表された5月の米住宅着工件数は前月比5.0%増の135万件。
2007年7月以来の高水準だったことは好感。
ドル円は110円を挟んだレンジで推移。
 
終日下落基調で安値引けだった火曜日。
4日連続の陰線となった。
東証1部の値上がり銘柄数218、値下がり銘柄数は1827で全体の9割超。
売り一色の展開で新高値47銘柄(前日85)、新安値264銘柄(前日184)。
TOPIX)は200日移動平均線を割り込んだ。
背景は米中貿易摩擦悪化懸念。
NY市場が引けた後に米政権側から悪材料。
東京の取引時間中に中国からも悪材料。
「主体性のない東京市場では売りが売りを呼びやすくなった」との声が聞こえる。
アジアの軟調とNY夜間取引の下落から下げを先取りした格好だろう。
ニューフェイスのメルカリ効果は半減した。
「5月21日高値23050円を抜く前に失速してしまったことは残念。
5月30日の安値21931円を割り込む前に反転できるかが焦点」という声も聞こえる。
「200日線が横たわる22074円が一つの下値メド。
あるいは月足陽線基準の22170円キープが重要」という見方もある。
25日線(22624円)からは1.5%のマイナスかい離。
騰落レシオは81.35%まで低下。
もう少しひきつけて70%台が欲しいところでもある。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲10.320%。
買い方▲11.875%と逆転。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲18.56%。
買い方▲17.42%と完全に拮抗。
空売り比率は41.4%(前日42.2%)。
6月15日時点の信用買残は153億円減の3兆3525億円。
信用売残は178億円増の8530億円。
NT倍率は12.77倍まで低下。
日経VIは19.79まで上昇した。
NYダウは6日続落となったがシカゴ225先物終値は大証日中比30円高の22210円。
安値は22070円だった。
気学では火曜が「押し目買いの日。逆に安いと翌日から高し」。
水曜は「相場の放れる日。足取りに注意せよ」。
その通りなら5日ぶりの陽線にお目に書かれるだろうか。
13週線(22310円)が26週線(22339円)を下回ってデッドクロスしている構図は美しくない。
6ヶ月移動平均(22261円)は死守線。
12ヶ月移動平均(21749円)は完全なサポートラインだろう。
一目均衡の雲の上限22409円も早急に奪還したいところだ。
勝手雲は今日白くねじれている。
ワールドカップの金星で運は使い果たしたなんてことはなかろう。
 
ストラテジスト馬渕氏の週刊「世界経済・市場花だより」臨時号外でのコメント。

これは余談ですが、ジョークとして
トランプ大統領が「2000億ドル追加だ、いや3000億ドルだ、
5000億ドル、さらに7000億ドルだ~!」と叫んだ。
閣僚の一人が「大統領、中国からの物の総輸入額は5100億ドルしかありません」とささやく。
というものがあります。
どうも足元のトランプ大統領はこういった笑えないギャグに突き進んでいるように思えて仕方がありません。
 
人類のDNAは均衡というテーマを持っているような気がする。
どこかが凹めばどこかが凸になる構図だ。
戦後のベニーブームなんていうのはその一例なのかも知れない。
そう考えれば市場がゼロサムという構図もスッキリ理解できるだろう。
それも永遠のゼロサムなのだ。
リーマンショックだって結局過去最高値への一里塚だった。
2012年の日経平均8000円台だってバブル崩壊後の半値戻しへの序章。
だったらトランプVS習体制の貿易問題だっていずれはゼロサムになるに違いない。
人が起こした事由は人が解決しうる問題であることが多いものだ。
「対米赤字がトランプ大統領の格好のターゲットになっただけ。
目的は中間選挙に向けて大統領は頑張っているというアピール。
狙いは中国ではなく中間選挙。
中国が対抗措置を講ずれば講ずるほどトランプ大統領にとってはプラス材料。
米中合意かどうかは不明だが・・・」。
そんな興味深い見方もある。
引きつけてバットを振るのがカーブの打ち方でもある。
 
言い換えれば人類社会に無限はないということになる。
市場も有限社会なのだ。
無限というのは錯覚。
市場には無限も無常もない。
これは結構大切だろう。
「願はくは花の下にて春死なん その如月の望月の頃」は西行法師。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」は鴨長明。
「永遠なるもの」はゲーテのファウストでさえ見つけられなかった。
 
NYダウは287ドル安の24700ドルと6日続落。
年初来の上場幅を消した。
NASDAQは21ポイント安の7725ポイントと反落。
S&P500は11ポイント安の2762ポイントと3日続落。
ダウ輸送株指数は186ポイント安の10863ポイント。
3市場の売買高は71.2億株。
CME円建ては大証比30円高の22210円。
ドル建ては大証比75ポイント高の22255ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比30円高の22210円。
ドル円は110.04円。
10年国債利回りは2.893%。
 
 
◇━━━ カタリスト━━━◇
 
WSCOPE(6619)・・・動兆。
 
WSCOPEに注目する。
同社はリチウムイオン電池セパレーター専業メーカー。
生産は韓国、販売先は日中韓 
下期には中国が電気自動車向けに復調。通期では営業益上向く見通し。 
水処理フィルター、人工皮膚、透析膜などに期待感。

(兜町カタリスト櫻井)

 

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