NYダウ反落、328ドル安。米中貿易摩擦への懸念が強まる

25日のNYダウ工業株30種平均は大幅に反落し、前週末比328ドル09セント安の2万4252ドル80セントと5月上旬以来ほぼ1カ月半ぶりの安値で終えた。
 
トランプ政権が中国によるハイテクなど重要産業分野への対米投資制限を検討していることが報じられ、貿易摩擦への警戒感からアジア・欧州株が概ね全面安となり、米国株も終日大幅下落となった。
 
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は24日、トランプ政権が中国への技術流出を防ぐため、中国資本が25%以上入っている企業を対象に、「産業上重要な技術」を持つ米企業の買収を禁じる規制強化案を検討していると報道。米中間の貿易摩擦が一段と激しくなることへの警戒感から、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に売りが出た。
 
インテルやマイクロン・テクノロジー、クアルコムなど半導体銘柄が軒並み売られた。ダウ平均では中国売上比率が高いボーイングやキャタピラーが下げ、中国企業と事業提携しているIT機器のシスコシステムズが売られた。
ダウ平均の下落幅は一時500ドルに迫った。四半期末を前に、上昇基調にあったハイテク株には利益確定の売りが出やすかった面もある。
 
取引終了にかけてはやや下げ渋った。ナバロ大統領補佐官がCNBCテレビのインタビューで、特定の国を標的とした具体的な計画はないと述べたことで過度な警戒感が後退。米中摩擦への警戒感がやや和らぎ、ダウ平均は下げ幅を縮めた。
 
ナスダック総合株価指数は3日続落し、前週末比160.812ポイント安の7532.006で終了した。アルファベット(グーグル)やフェイスブックなど時価総額の大きい主力ネット銘柄が大幅に下げ、指数を押し下げた。
 
セクター別では、公益事業や食品・生活必需品小売が上昇する一方で半導体・半導体製造装置や消費者・サービスが下落した。
 
個別では、欧州連合(EU)による米国への報復関税を回避するため、生産拠点の一部を米国から海外に移す考えを示したオートバイメーカーのハーレー・ダビッドソン(HOG)が下げた。ネット広告を手掛けるアップネクサスを買収すると発表した通信のAT&Tも安い。
クルーズ客船運航のカーニバル・コーポレーション(CCL)は、通期見通しを引き下げ軟調推移、同業のロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)やノルウェ?・クルーズ・ライン・ホールディングス(NCLH)も売られた。
 
一方、食品のクラフト・ハインツが買収を検討していると報じられた同業のキャンベル・スープが上昇した。ダウ平均では小売り大手のウォルマート、飲料のコカ・コーラが上げた。
 
 
VIX指数は17.33と前日から上昇した(前営業日13.77)。
米国と諸外国・地域との間で貿易摩擦が激化するとの警戒感で、米株は大幅安となった。
先週末に9日ぶりに反発したダウ平均は一時500ドル安水準まで暴落し、ナスダックも2%超の下落となり、VIX指数は上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,252.80-328.09
S&P500種
2,717.07-37.81
ナスダック
7,532.006-160.812
 
米10年債利回り(%)
2.8821 -0.018
米2年債利回り(%)
2.5371 -0.013
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,268.90-1.80
NY原油(ドル/バレル)
68.18+0.10
円・ドル
109.71 – 109.72+0.25
 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前週末比345円安の2万2155円で引け、同日の大取終値を145円下回った。
トランプ米政権が知的財産の侵害を防ぐため中国の対米投資制限を検討していると伝わり、米中貿易摩擦の激化懸念が広がった。ただ、引けにかけては米政府高官が投資制限を否定し、下げ幅を縮めた。
この日の9月物安値は2万1990円、高値は2万2520円。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22155 ( -145 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22195 ( -105 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7509.84(-172.43)
FTSE100種総合株価指数は米国発の貿易摩擦をめぐる懸念からリスク回避のムードが広がり、株価は大幅反落した。前週末22日の終値に比べ172.43ポイント安の7509.84で引けた。
欧州各国の株式相場が下落し、英国も下げた。日中を通して下げ幅は徐々に拡大した。原油安を背景に、時価総額の大きい石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルの大幅安が株価指数の下げに大きく影響した。
 
個別では、景気懸念から銀行株も売られ、なかでもHSBCホールディングスとスタンダードチャータード銀行の下げが大きくなった。旅行大手カーニバルが11.1%の大幅安。燃料価格の上昇とドル高を理由に通期利益見通しを引き下げたことが響いた。ソフトウエア会社マイクロフォーカスは5.2%安下がった。
 
半面、メディアのITVと総合公益会社のユナイテッド・ユーティリティーズ・グループは買われた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12270.33(-309.39)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅反落した。終値は前週末22日と比べて309.39ポイント安の12270.33だった。米国発の貿易摩擦で世界経済が停滞するとの懸念から、欧州各国の株式相場が下落した。
個別では、半導体のインフィニオンテクノロジーズと航空のルフトハンザがともに5%超の下落と目立った。工業用ガスのリンデの下げも大きかった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5283.86(-103.52)
欧州の主要株式市場では、フランスの株価指数CAC40の終値が前週末に比べて2%近く下落した。

 

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