24日午前の日経平均株価は続落し、前引けは前日比93円65銭(0.33%)安の2万8359円10銭だった。下げ幅は一時170円を超えた。重要イベントを控えて米国の金融政策への警戒感が強まっており、値がさ株の一角を中心に売りを促した。
23日の米株式市場でNYダウ平均は154.02ドル安(-0.46%)と3日続落だった。8月製造業・サービス業PMIが予想以上に悪化したことで景気後退懸念から売り優勢でスタート。7月新築住宅販売件数も2016年来で最低となる低調な結果に終わると更なる売り圧力となった。金利が横ばいの中、ジャクソンホール会合を控えた警戒感からハイテク株の序盤の買いも続かず、終日軟調に推移。ナスダック総合指数は0.27ドル安(-0.00%)とほぼ横ばいだった。
米連邦準備理事会(FRB)が大幅な利上げを継続するとの警戒から、米市場では長期金利が23日に一時3.07%とおよそ1カ月ぶりの高水準を付けた。23日のダウ工業株30種平均は150ドル超下げて終え、東京株式市場でも投資家心理の重荷になった。
朝方は買いが先行していた。日経平均は前日までの4営業日で700円超下げていたため自律反発狙いの買いが入ったが、続かなかった。
市場関係者は、「FRB高官から盛んに来年の早期の利下げ観測をけん制する発言が相次いでおり、一部の市場関係者が抱いていた(利上げ減速)期待が剥落している」と話す。
米S&Pグローバルが23日に発表した8月の米購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合指数が2カ月連続で好不況の分かれ目となる50を下回った。ただ最近のFRB高官の発言もあって、利上げの減速期待よりも景気の減速懸念が意識されやすかった。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。午前終値は前日比1.70ポイント(0.09%)安の1969.74だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆1766億円、売買高は5億2709万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は732と、全体の4割程度にとどまった。値上がりは1013銘柄、変わらずは92銘柄だった。
業種別株価指数(全33業種)ではその他製品、陸運業、サービス業の下落が目立った。上昇は鉱業、電気・ガス業、ゴム製品など。
個別では、レーザーテック、東エレク、HOYAなどの半導体関連株が軒並み下落。コナミG、任天堂、ファーストリテ、キーエンス、OLC、ダイキンの値がさ株が安い。メルカリ、リクルートHD、エムスリー、ベイカレントなどグロース(成長)株は大きく下落。花王、資生堂のディフェンシブ系のほか、武田薬、エーザイなどの医薬品、ほか、大阪チタ、東邦チタニウムの下落が目立つ。東武、小田急、京王も安い。
一方、原油先物価格の上昇を支援要因に連日でINPEX、石油資源開発が大幅高で、富士石油は急伸。来年夏以降に柏崎刈羽原子力発電所など国内の原発計7基の再稼働を目指す方針と伝わり、東京電力HDが大幅高。三井物産、丸紅などの商社株や、三菱重、川崎重、IHI、日揮HDなど重厚長大産業関連も軒並み高い。科学事業の売却交渉において、米投資ファンドのベインキャピタルを軸に調整に入ったと伝わっているオリンパスは年初来高値を更新。中期業績計画のローリングを発表したエンビプロHDも買われた。
