11日午前の日経平均株価は反発し、前引けは前日比90円15銭(0.28%)高の3万2279円88銭だった。日経平均は前日までに5日続落していたとあって、前日の米株式相場の上昇を受けた買いが優勢だった。
朝方から主力株中心に買いが優勢で、日経平均はリバウンドに転じた。前日の欧州株市場が総じて高かったほか、米国でもNYダウが200ドルあまりの上昇で4日ぶりに切り返し、投資家のセンチメントが改善した。ETF分配金捻出のための売り圧力も前日までで一巡したとの見方が投資資金を誘導している。上げ幅は一時270円超に達した
ただ、6月の米消費者物価指数(CPI)の発表をあすに控え、上値では戻り売りが表面化し、買い一巡後は上げ幅を縮小している。外国為替市場で急速に円高が進んでいることも警戒されている。
日経平均は前日までの5日続落で1500円あまり下落しており、自律反発狙いの買いが入りやすかった。前日の米市場では半導体関連銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も堅調に推移し、東京株式市場でもアドテストなどの半導体関連銘柄に買いが波及した。
このところ国内株式相場の重荷となっていた上場投資信託(ETF)の分配金拠出に伴う売りが前日までに一巡したとの見方が、日本株の買い安心感につながったとの声も聞かれた。
半面、11日午前の円相場が1ドル=141円近辺まで上昇し、輸出採算が悪化するとの懸念からトヨタなど自動車株が売りに押された。相場全体の先高観が足元で後退しているなか、戻り待ちの売りを急ぐ動きも目立った。
日経平均および東証株価指数(TOPIX)ともに25日移動平均線を下回った状態が3日以上継続、日足ローソク足は4本連続で陰線を形成しており、テクニカル的にはトレンドが明らかに悪化している。
日本株は4月以降、大きく上昇してきただけに、決算では余程のポジティブサプライズでもない限り、株価が一段と上昇することは難しいだろう。これから迎える決算シーズンのハードルが高いことが今回の安川電機の決算から窺えた。為替の不透明感も踏まえると、7月の日本株は少なくとも日柄調整を余儀なくされそうだ。この間、本日の指数別パフォーマンスにおいて相対的な強さを見せているマザーズ指数から窺えるように、中小型株や新興株に対する幕間繋ぎの物色に期待したい。
東証株価指数(TOPIX)は2.91ポイント高の2246.24ポイントと反発して午前の取引を終えた。JPXプライム150指数も反発し、前引け時点で2.77ポイント(0.27%)高の1023.98だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆4930億円、売買高は6億888万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1095と、全体の約6割を占めた。値下がりは649銘柄、変わらずは90銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は上昇が水産・農林業、金属製品、精密機器など。輸送用機器、電気・ガス業、海運業は下落した。
個別では、売買代金首位のレーザーテックが高く、アドバンテストも上昇。SUMCOが大商いで値を飛ばした。ソフトバンクグループも堅調。良品計画が買われ、メルカリも物色人気に。アステリアが急伸、コスモス薬品も大幅高。ファナック、京セラ、ネクソンが高い。
決算を材料に前日ストップ高となった良品計画は大幅続伸。USENNEXは大幅増益決算と業績上方修正が、パンパシHDは既存店売上高が、ベルクは第1四半期高進捗の決算がそれぞれ材料視されて大きく上昇した。
半面、ソシオネクストは下値模索、エーザイも売られた。為替の円高を受けてトヨタ自、日産自、マツダが安い。任天堂も売り優勢。ファストリや第一三共、KDDIが安い。決算が失望されたウエルシアホールディングスが急落、業績下方修正や株主優待制度の廃止が嫌気されたワッツも大幅安だった。ブックオフGHD、進和なども急落している。
