20日のNYダウ工業株30種平均は9日続伸し、前日比163ドル97セント(0.5%)高の3万5225ドル18セントで終えた。2022年3月以来の高値を更新した。9日続伸は2017年9月以来の長さとなる。市場予想を上回る四半期決算を発表した銘柄を中心に買いが入り、ダウ平均を押し上げた。
この日発表されたJ&Jの4~6月期決算は増収増益となり、通期の利益見通しが上方修正された。決算発表シーズンが本格化する中、同社の好決算が買い材料視され、ダウは最近の強地合いを引き継ぎ取引序盤から買い優勢で推移した。
IT(情報技術)のIBMは2%上昇した。19日夕に発表した四半期決算で1株利益が市場予想以上だった。前日の決算発表とあわせて経営陣が事業環境に改善の兆しがあるとの見方を示した金融のゴールドマン・サックスは3%高となった。20日に決算を発表した保険のトラベラーズも高い。
前週発表の米物価指数が軒並み市場予想を下回ったことを受け、米国の景気後退を避けながらインフレが落ち着く方向にあるとの楽観も引き続き市場心理を支えた。
これまで今年の相場をけん引してきた主力ハイテク株と比べ、出遅れ感があった銘柄に買いが入りやすくなっている。航空機のボーイングや機械のハネウェル・インターナショナルといった景気敏感株のほか、製薬のメルクや飲料のコカ・コーラなどディフェンシブ株も高かった。
一方、主力ハイテク株には売りが広がった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、前日夕に発表した決算で売上高が市場予想に届かなかった動画配信のネットフリックスは8%安となった。電気自動車のテスラは前日夕に市場予想を上回る増収増益決算を発表したが、利益率の低下が嫌気され、10%ほど下げた。
これまで上昇が目立っていた主力株には「期待値に届かない決算を発表すれば利益確定売りが出やすい」との見方があった。他のハイテク株に売りが波及し、ダウ平均の構成銘柄ではソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルが下げた。
最新週の新規失業保険申請件数は前週比9000件減の22万8000件と、2週連続の改善となった。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日比294.711ポイント(2.1%)安の1万4063.307で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネット検索のアルファベットなど主力株が軒並み売られた。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株も下げが目立った。半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が20日に決算発表とあわせて示した23年12月期通期の売上高見通しを引き下げ、半導体関連銘柄の重荷となった。
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比550円安の3万2330円で終えた。
NYダウは、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の堅調な四半期決算が好感され、9営業日続伸した。ただ、米主要ハイテク企業の下げが目立った。
東京株式市場で日経平均株価が持ち高調整の売りに押されたのも投資家心理を冷やし、シカゴ市場で先物は下落した。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32330 ( -80 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32370 ( -40 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7646.05(+57.85)
20日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日に比べ57.85ポイント(0.76%)高の7646.05と、5月23日以来約2カ月ぶりの高値で取引を終えた。20日発表の23年4~6月期の生産報告で、銅などの生産量が前年同期から増えたと発表した資源大手のアングロ・アメリカンが3%高となった。生産量の増加で利益が拡大するとの期待が広がり、資源セクターに買いが波及した。
FTSE100の構成銘柄では、資源大手グレンコアが4.20%高と上昇。上半期の好調な銅生産量を発表したアングロ・アメリカンは3.34%高、金融大手M&Gが2.78%高と買われた。
一方、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストが2.16%安、不動産サイト大手ライトムーブが2.11%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16204.22(+95.29)
20日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ16.56ポイント(0.10%)高の1万6108.93と、6月16日以来約1カ月ぶりの高値で取引を終えた。市場で、欧州中央銀行(ECB)の利上げ長期化観測が緩んでおり、金融引き締めによる景気の悪化懸念が和らいだ。20日のダウ工業株30種平均が堅調に推移しているのも、投資家心理を明るくした。ヘルスケアや公益事業などディフェンシブセクターのほか、金融や化学、資本財など景気敏感セクターにも買いが入った。
個別では、不動産大手ボノビアが6.88%高と上昇率トップ。製薬大手サルトリアスが2.08%高、通販大手ザランドが1.61%高と続いた。半面、素材化学大手コベストロは2.90%安、商用車大手ダイムラー・トラックは1.32%安と下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7384.91(+57.97)
フランスCAC40種指数は0.79%高だった。欧州市場では、好調な企業収益などが押し上げ要因となった。
