28日の日経平均株価は反落し、終値は前日比89円10銭(0.23%)安の3万8199円52銭だった。
きょう前場は方向感の見えにくい地合いとなり、日経平均は前日終値を下回る水準でもみ合う展開となった。前日の米国株市場でNYダウが小幅ながら連日で最高値を更新し、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も堅調だったことで、投資家のセンチメントは改善しているが、朝方は為替の円高などが重荷となっていた。しかしその後、ドル・円相場は円安方向に押し戻されており、押し目買いや買い戻しを誘う展開に。米エヌビディア<NVDA>の決算発表を控え、上値を積極的に買い進む動きに発展することもなく、前引けはマイナス圏で着地。値下がり銘柄数は全体の74%を占めている。
日経平均の下げ幅は150円に迫る場面があった。朝方に円相場は1ドル=143円台後半で推移していた。円高警戒の売りが先行したが、その後に円相場が144円台前半まで上げ幅を縮小すると、円相場の動きに歩調を合わせる形で、先物や輸出関連株への売り圧力が和らいだ。自社株の追加取得の期待が追い風となったトヨタは大幅高となった。
東証プライムの値下がり銘柄数は1211と、全体の7割を占めた。日経平均など指数の下げ幅に対して、市場ではやや値下がり数が多いとの受け止めもあった。日本時間29日早朝には米半導体大手エヌビディアの2024年5〜7月期決算の発表を控える。ここ1年以上はエヌビディア株の動きが半導体関連を中心に日本株に大きく影響してきたとあって、発表後の相場の変動が警戒され、いったん持ち高調整の売りが出やすくなっているとの見方もあった。
午前中、氷見野良三日本銀行副総裁は、金融経済懇談会にて、「円安が修正された影響としては、輸入物価を通じた物価上振れリスクがその分小さくなり、ひいては、家計消費の先行きにもプラスに働きうる」と述べ「円高がインバウンド需要に、株安が高級品消費に影響することも考えられる」と指摘した。午後に記者会見を控えていることで、為替が上下に反応する可能性はあるが、午前中の発言内容に留まれば、後場の東京株式市場も凪相場となりそうだ。
様子見姿勢が強いことから、日経平均は前日終値水準での小動きが続くと考える。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。終値は2.27ポイント(0.08%)安の2678.53だった。JPXプライム150指数は反落し、1.75ポイント(0.15%)安の1202.14で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で1兆6363億円、売買高は6億9883万株だった。東証プライムの値上がりは384、横ばいは50だった。
業種別では、パルプ・紙、鉱業、石油・石炭製品、金属製品、水産・農林業などが下落した一方、輸送用機器、医薬品、精密機器、保険業、サービス業などが上昇した。
個別では、原油価格下落を受けて、出光興産、INPEXなど資源関連銘柄が下落したほか、構造改革を進める住友化学、住友ファーマがそろって下落。ディスコ、東京エレクトロンが軟調、ソフトバンクグループ(SBG)も売りに押された。三井E&Sも利食われた。SHIFTも下値を探る展開に。北越コーポレーションが急落、FIGも利益確定売りで安い。このほか、あおぞら銀行、SUMCO、太陽誘電、太平洋セメント、東京エレクトロンが売られた。
半面、ジェイテクトが引き続き中期経営計画が材料視されて買われた。売買代金トップのレーザーテックが堅調、追加の自社株買い実施への期待感からトヨタ自動車も買いが優勢となった。このほか、証券会社のポジティブなレポートを受けて楽天グループが活況高で値上がり率首位となったほか、アドバンテストも上昇した。アシックスが高く、HOYAも上値指向。平田機工が大幅高、ペプチドリームの上げ足も目立つ。第一三共、DIC、TOPPANホールディングス、ソニーグループなども買われた。
