10日午前の日経平均株価は反発し、3連休前の前営業日比772円08銭(2.49%)高の3万1766円75銭で前場を終えた。
きょう前場は、大きくリスクオンの地合いに傾き日経平均は大幅高。前週末と前日に米国株市場が2営業日連続で上値を指向する展開となり、これを受けて空売りの買い戻しが加速、先物主導で一気に水準を切り上げた。日経平均は770円あまりの上昇で前引けはほぼ高値引けとなっている。前週末に発表された9月の米雇用統計後に米国株市場でNYダウなど主要株価指数が揃って上昇したことに加え、その後にイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃で地政学リスクが急浮上したにもかかわらず、米国株が上値追い基調を続けたことで、東京株式市場でもセンチメントが強気に傾斜した。値上がり銘柄数は全体の87%を占めている。
米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの長期化観測が和らいだことなどを受けた9日の米株高を背景に、東京市場でも買いが先行した。日本時間10日午前の取引で米長期金利が低下したことも日本株の支えだった。
FRBのジェファーソン副議長が9日公開した講演の原稿で、米長期金利上昇により追加利上げの必要性が低下するとの見解を示唆した。これを受け、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における金利据え置き観測が高まったとして、米長期金利が低下。これまで金利上昇局面で相対的な割高感が意識されていた株式には売りが膨らんでいただけに、買い戻しの動きが優勢だった。
前週末発表の9月の米雇用統計では非農業部門の就業者数が市場予想を大幅に上回る伸びとなった一方、平均時給の前月比の伸び率は予想を下回り、賃金インフレへの過度な懸念が後退している。市場では「雇用統計の発表前にリスク回避姿勢を強めていた投資家が多かっただけに、イベントを無難に通過したとの受け止めから買い戻しが広がった」との声が聞かれた。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍との戦闘で中東情勢を巡る地政学リスクが高まっている。情勢が一段と悪化した場合にはリスク回避の動きから株安要因になるとの見方は多い。ただイスラエルは主要産油国ではないことなどから「現時点では世界経済への影響は大きくない」との声もあり、日本株相場全体への影響は限られている。
10月5日に発表された最新週(9月25日~9月29日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を4週連続で売り越した。売り越し金額は776億円となるなか、個人投資家は2週連続で現物株を買い越している。引き続き、海外投資家の売り越しスタンスにブレーキが掛かるか注目される。後場の日経平均はプラス圏での堅調推移を継続できるか。本日は幅広いセクターが堅調に推移しており、プライム市場の主力株中心に物色が継続するか注目しておきたい。
東証株価指数(TOPIX)は47.22ポイント高の2311.30と続伸した。JPXプライム150指数は反発し、前引け時点で19.78ポイント(2.00%)高の1009.49だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7269億円、売買高は7億3083万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1602と、全体の9割弱を占めた。値下がりは198、変わらずは37銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は鉱業、石油・石炭製品、海運業、卸売業が上昇率上位。空運業と水産・農林業は下落。
個別では、中東地域の戦闘激化を背景にした原油高でINPEXや石油資源など資源関連株が大幅高。ファストリやソフトバンクグループ(SBG)、KDDIなど値がさ株が上昇した。きょうも断トツの売買代金をこなしたレーザーテックが大幅高、東京エレクトロン、アドテスト、信越化、ディスコなど半導体主力銘柄の上げ足が目立つ。三菱重工業が値を飛ばし、川崎汽船など海運株も物色人気を集めた。中小型株では三陽商会、ワキタなどが急騰した。
半面、日本航空、ANAホールディングスなど空運株が売りに押された。また、マルマエが大幅安、サカタのタネ、コジマなども下落した。資生堂や高島屋が売られた。
