14日午前の日経平均株価は反落し、午前終値は前日比77円25銭(0.21%)安の3万6155円26銭だった。
日経平均の上げ幅は一時、450円を超えたが、買い一巡後は前日の大幅上昇の反動もあり、個人投資家などによる利益確定や戻り待ちの売りが出て、指数は下落に転じた。
きょう前場の東京株式市場は方向感の定まらない不安定な地合いとなった。朝方は前日の米ハイテク株高を受け、リスク選好の流れを引き継ぎ日経平均株価は続伸して始まったが、その後は目先筋の利益確定売りで上げ幅を縮小した。しかし、前場取引時間中に岸田首相が総裁選不出馬の意向を固めたことが伝わり、いったん短期筋のショートカバーで日経平均は上げ足を強める展開となった。しかし買いは続かず、その後は下げに転じるなど荒れた値動きとなっている。結局、思惑錯綜のなか前引けは小幅ながらマイナス圏で着地している。
13日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)は伸び率が市場予想を下回り、インフレが鈍化したとの見方から米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が高まった。米長期金利は低下(債券相場は上昇)し、ナスダック総合株価指数や主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が上昇した。東京株式市場でも朝方はアドテストなど半導体関連に買いが先行し、相場を押し上げた。トヨタやホンダなどの自動車株も買われた。
ただ、日経平均は前日に1200円以上上昇したことから、上値では個人などによる利益確定や戻り待ちの売りが出た。前場中ごろに、「岸田文雄首相は9月に予定する自民党総裁選に立候補しない意向を固めた」と伝わると、日経平均は不安定な値動きとなった。日経平均は一時的に強含んだが、午前の取引終了にかけては売りが膨らみ、下げに転じた。市場では「首相が代わることで前向きな変化があるのではないかと投資家は期待し、現段階では好材料とみなしているのではないか」との声が聞かれた。
11時30分から行われた記者会見にて、岸田首相は9月の自民党総裁選に出馬しないと発表したことから、9月末まで政治空白が続くこととなる。国民の支持率こそ低かったが、「資産運用立国」を推し進めた岸田政権は、証券業界からするとポジティブな存在だったと言えよう。行き過ぎた円安に対する対応の遅れから、足元の乱高下相場を招いたと考えるが、日経平均及びTOPIXがともに史上最高値を更新するなど岸田政権の功績は大きい。今後、自民党総裁レースが本格化するなか、「資産運用立国」を継続する候補者が出てくるか注目。後場の東京株式市場は、政治空白などを嫌気した売りが主力株に入る可能性はあるだろう。日経平均は下げ幅拡大に警戒したい。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは11.87ポイント(0.46%)高の2565.42だった。JPXプライム150指数も続伸し、0.93ポイント(0.08%)高の1151.03で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆5886億円、売買高は10億9549万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は607。値上がりは994、横ばいは44だった。
業種別では、精密機器、化学、倉庫・運輸関連業、繊維製品、水産・農林業などが下落した一方、保険業、輸送用機器、石油・石炭製品、非鉄金属、卸売業などが上昇した。
個別では売買代金トップのレーザーテックが安く、東京エレクトロンも値を下げた。ファーストリテイリングも売りに押された。メルカリが決算発表を受けて成長鈍化懸念が意識されて大幅安となったほか、シチズンも決算が嫌気されて売られた。アシックスなども軟調。キュービーネットホールディングスが急落、日本マイクロニクスの下げも目立つ。
このほか、コムシスHD、日東電工、HOYA、ニトリホールディングス、信越化が下落した。
半面、決算内容が材料視されてサッポロホールディングスが大幅高となったほか、国内証券会社のポジティブなレポートを受けてフジクラが買われた。ディスコが堅調、ソフトバンクグループも買いが優勢。三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクもしっかり。第一生命HD、東京海上ホールディングス、MS&ADなど保険株が上昇。リクルートホールディングスなどが上昇した。東邦亜鉛、アトラエ、ラクスなども物色人気。また、このほか、ソシオネクスト、IHI、コニカミノルタ、レゾナックが買われた。
