748ドル安と大幅続落、1カ月ぶり安値 景気減速を警戒

 
 
21日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前日比748ドル63セント(1.69%)安の4万3428ドル02セントと、およそ1カ月ぶりの安値で終えた。
 
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)はこの日、メディケア(高齢者向け公的医療保険)の請求慣行が公的医療費の負担増を招いている可能性があるとして、司法省がユナイテッドヘルスを調査し始めたと伝えた。経営の先行き不安から同社株は7%超安と急落、相場を押し下げた。ダウ終値の下げ幅は今年最大だった。
アンセムやヒューマナなど他の保険大手にも売りが波及した。
 
米ミシガン大学が発表した2月の消費者景況感指数(確報値)など、さえない米経済指標も嫌気されて金融や小売りなど幅広い銘柄が売られた。市場参加者は「景気先行き懸念が生じた」(日系証券)と警戒感を強めた。同指数は64.7と、1月の確報値71.1(=改定)を大幅に下回った。市場予想(ロイター通信調べ=67.8)にも届かなかった。
 
米S&Pグローバルが21日発表した2月の米購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合が50.4と1月の52.7から低下し、23年9月以来1年5カ月ぶりの低水準となった。サービス業は49.7と2年1カ月ぶりの低水準を付けた。好不況の境目とされる50を下回り、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(52.8)以下だった。
 
同日発表の1月の米中古住宅販売件数は前月比で4.9%減と、市場予想(2.6%減)を下回った。ミシガン大学が同日公表した2月の米消費者態度指数(確報値)は64.7と1月(71.7)から低下し、23年11月以来の低水準となった。市場予想(67.8)も下回った。米政権の関税が物価高につながるとの懸念が重荷となったという。1年先の予想インフレ率は4.3%と1月(3.3%)から上昇し、23年11月以来の高水準となった。
 
トランプ政権の関税政策を巡る不透明感や、インフレ圧力への懸念も根強い。米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げに慎重な姿勢を示していることも、引き続き相場の重荷となった。市場では、「今週は企業決算や経済指標が相次いで経済の弱さを示したことで懸念が大きく広がり、株売りを促した」との声が聞かれた。
 
ユナイテッドヘルスは7.1%下落し、ダウ平均をおよそ220ドル押し下げた。「米司法省がここ数カ月でメディケア(高齢者向け公的医療保険)プランの請求慣行を巡って調査に乗り出した」と米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが21日報じた。経営の先行きへの警戒から、売りが広がった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、メディケア事業を手掛ける同業のヒューマナやCVSヘルスも安かった。
 
そのほかのダウ平均の個別銘柄では、エヌビディアやアマゾン・ドット・コム、アメリカン・エキスプレスが安かった。セールスフォースやキャタピラーも下げた。半面、メルクやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、アムジェンといったディフェンシブ株には買いが入った。
 
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比438.357ポイント(2.19%)安の1万9524.005(速報値)で終えた。週間では2.5%安と24年11月中旬以来の下落率となった。テスラとビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズがともに4%あまり下げた。
 
S&P500種株価指数は続落し、前日比104.39ポイント安の6013.13で終えた。
 
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

21日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比425円安の3万8130円で終えた。
NY株式相場は、米当局から調査を受けていると報じられた米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループに売りが膨らみ、大幅続落した。
シカゴ市場の日経平均先物にも売りが出た。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
38130 ( -660 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38155 ( -635 )
 
 ( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

21日のロンドン株式市場で英FTSE100種総合株価指数は前日比横ばい圏で終えた。終値は同3.60ポイント(0.04%)安の8659.37だった。21日に2024年10〜12月期決算とあわせて自社株買い計画を公表した英スタンダードチャータードをはじめ銀行株が買われた。半面、エネルギーや資本財関連に売りが優勢で、指数の重荷となった。
 
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)など、たばこ株が下落。エネルギーが下げたほか、防衛大手BAEシステムズといった、このところ株価水準が切り上がっていた資本財関連の一角に利益確定売りが出た。
 
FTSEの構成銘柄では、産金大手エンデバー・マイニングが3.60%安、一部金融機関が目標株価を引き下げたと伝わったたばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコが2.31%安、航空・防衛大手BAEシステムズが2.22%安と下げを主導。一方、金融大手スタンダード・チャータードは3.77%高、同業ナットウエストは3.60%高、酒造大手ディアジオは3.13%高と買われた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

 21日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落し、前日比27.09ポイント(0.12%)安の2万2287.56で終えた。週末入りを前に、利益確定売りが出やすかった。ソフトウエアのSAPや欧州エアバスといった時価総額が大きい一部銘柄が下落し、指数の重荷となった。一方で化学大手BASFといった素材関連が上昇。自動車・自動車部品にも買いが入った。
 
ドイツでは23日に総選挙が実施される。市場では直近の世論調査に沿う形で選挙を大きな波乱なく通過すれば、次期政権下では財政拡張寄りの政策が見込まれるとの観測がある。構成銘柄に多国籍企業が多いDAXと比べ、内需系の比率が高い中型株指数MDAXは上昇し、前日比0.38%高で終えた。
 
個別では、航空機大手エアバスとエネルギー大手シーメンス・エナジーがともに3.17%安となったほか、医療機器のザルトリウスも2.81%安と下落した。
半面、化学大手BASFは2.00%高、製薬大手バイエルは1.73%高、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は1.62%高で取引を終えた。
 
 

 

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比0.39%高で終えた。

 

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