13日午前の日経平均株価は大幅に続落し、前週末比735円43銭(2.64%)安の2万7088円86銭で終えた。
前週末10日に発表された米5月消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇と市場予想を上回り、インフレ懸念が高まるなかNYダウが880ドル安と急落した。この流れを引き継いだ東京株式市場は、朝方から売りが膨らむ展開となり、日経平均の下落幅は700円を超え一時2万7000円割れ目前まで売り込まれた。為替市場では1ドル=135円前後まで円安が進行した。ハイテク株や自動車株などが安い。
米株価指数先物が日本時間13日午前の取引で下げる中、日経平均先物にも短期筋の売りが出て指数を押し下げた面がある。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「米金融政策を巡って再び不透明感が高まり、海外勢が日本株買いに動こうとする動きに冷や水を浴びせた」と話していた。
外国為替市場では円相場が対ドルで1ドル=135円台に下げ、2002年2月以来の円安・ドル高水準となった。輸出関連株の一部の下支えにつながったものの、株式市場全体の地合いを好転させる材料にはならなかった。一方、食品などディフェンシブ銘柄の一部には買いが入った。
時間外取引のナスダック100先物のほか、香港ハンセン指数なども大幅に下落しており、外部環境の悪化が鮮明ななか、午後も日経平均は軟調推移が続きそうだ。前場の東証株価指数(TOPIX)の下落率が2%を超えたことで、日銀によるETF買いが期待されるものの、今週はFOMCを筆頭に金融政策イベントが多く、先行き不透明感も強いなか、買い戻しの進展は期待できないだろう。
東証株価指数(TOPIX)は大幅に続落した。午前終値は前週末比39.04ポイント(2.01%)安の1904.05だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆4517億円、売買高は6億1384万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1483と、全体の約8割を占めた。値上がりは305、変わらずは49だった。
業種別株価指数(33業種)では機械、サービス業、電気機器などが下落。電気・ガス業、食料品、水産・農林業は上昇。
個別では、レーザーテック、ソフトバンクG、東エレク、ソニーG、リクルートHD、日本電産、メルカリなど主力ハイテク・グロース(成長)株が軒並み大幅に下落。キーエンス、信越化、SMC、ダイキンの値がさ株も大幅安だった。クボタやデンソー、アドテストも安かった。郵船や三菱商事、INPEX、日本製鉄など市況関連株も総じて下落。上値追いが続いていた大阪チタも寄り付き後に失速した。東証プライム市場値下がり率トップは売上高予想を下方修正したラクスル。ほか、ラクス、Sansan、SHIFTなど中小型グロース株が上位に多くランクイン。第1四半期が好スタートとなった三井ハイテックは高く始まったものの、地合いに押されて急落に転じた。エムスリーやオムロン、リクルートも下落した。
一方、ダブル・スコープが一時逆行高となるなど底堅い展開。JTなどディフェンシブ銘柄の一角が小じっかり。明治HDや東ガス、三越伊勢丹は上昇した。今期見通しや自社株買いが好感されたラクーンHDが急伸し、東証プライム値上がり率トップに顔を出している。ほか、第1四半期好決算や業績上方修正がポジティブサプライズとなったトーホー、増配を発表したクミアイ化などが上位にランクイン。美浜原発3号機の運転再開の前倒しを発表した関西電力も大きく上昇している。
