17日午前の日経平均株価は反落し、午前終値は前週末比708円15銭(1.82%)安の3万8106円41銭だった。
きょう前場は朝方からリスク回避目的の売りがかさみ、日経平均株価は急反落。先物主導で下放れる展開で、下げ幅は一時800円を上回りフシ目の3万8000円台を下回る場面もあった。前週末の日銀金融政策決定会合で日銀は国債買い入れの減額を決めたが、金融引き締め路線への転換を嫌った海外投資家と思われる大口の売り圧力が顕在化した。また、フランスで極右政党が存在感を高めるなど、欧州でのナショナリズム傾斜を警戒する動きもあるようだ。買い手控えムードの強いなか値下がり銘柄数はプライム市場の83%を占めているが、全体売買代金は低調な水準にとどまっている。
前週末14日の米株式市場でNYダウ工業株30種平均は下落した。米景気減速や極右政党台頭によるフランスの政治情勢などを懸念した売りが優勢となった。欧州の株安も重荷となり、東京株式市場では自動車や機械、商社などに売りが出た。日銀の植田和男総裁が14日の金融政策決定会合後の記者会見で、長期国債の買い入れ減額について「相応の規模になる」と述べ、日銀の金融政策を巡る不透明感も改めて意識された。
売り一巡後はやや下げ渋った。節目の3万8000円を割り込んだ水準では個人などによる日本株の先高観を意識した押し目買いが入った。
14日、日銀金融政策決定会合にて、国債買い入れを減らす方針を決めたが、一部投資家は、「日銀が量的引き締め(QT)に踏み切る」と捉え、先物売りを仕掛けたようだ。植田和男日銀総裁は、記者会見にて、「今回の国債買い入れの減額がQTであるかどうか」と問われた際、「金融政策的な色彩は無しか、極めて最小化させたうえで運営していきたい」と発言。QTではないことを示唆したものの、「日銀は金融緩和から金融引き締めに転換した」と誤解した可能性がある。コミュニケーションミスというよりは、捉え方の問題な気はするが、欧州政治不安が強まっていたタイミングだったことも重なり下げ幅が拡大したと考える。後場は、いったん下げ止まりそうな気はするが、欧州投資家が参加すると見られる14時頃辺りの指数一段安には警戒したい。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは40.90ポイント(1.49%)安の2705.71だった。JPXプライム150指数も反落した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7783億円、売買高は7億7651万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1367と全体の8割強を占めた。値上がりは246、横ばいは32だった。
業種別株価指数は33業種すべて下落し、鉱業、不動産業、パルプ・紙、精密機器、保険業、非鉄金属の下落率が大きかった。
個別では売買代金トップとなったディスコや同2位のレーザーテック、東エレクなど半導体製造装置の主力銘柄が軒並み安、ファストリ、ソフトバンクグループも売りに押された。トヨタ自動車が下値模索、三菱UFJフィナンシャル・グループも軟調。ファーストリテイリングの下げも目立つ。ギフトホールディングスが急落、フリービット、パーク24なども大幅安となった。
半面、エーザイやアステラスなどディフェンシブ関連の一角が上げた。ファンケルが商いを伴い急騰、太陽誘電も大幅に逆行高し上値追い基調を継続。低位株では曙ブレーキ工業が急動意をみせている。
