14日のNYダウ工業株30種平均は7営業日ぶりに反落し、前日比232ドル79セント(0.7%)安の3万3979ドル33セントで終えた。
この日午前は米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定公表を控え、様子見気分が強い中、このところの相場続伸を受けた利益確定の売りに押され、ダウは軟調に推移。午後の声明発表まで極めて狭いレンジでの値動きに終始した。
FRBは大方の予想通り、利上げの一時停止を決定。一方で政策金利見通し(中央値)では、2023年末までに0.25%幅であと2回利上げするシナリオが示された。予想以上に追加利上げに積極的な予想が嫌気されて売りが膨らみ、ダウの下げ幅は一時400ドルを超えた。
市場では0.25%の利上げ1回を織り込むとの予想が多かった。FOMC後にダウ平均は400ドルあまり下げる場面があった。
パウエル議長もFOMC後の記者会見で「ほぼすべての参加者が年末までにいくらか利上げするのが適切になるだろうと考えている」と利上げ再開を示唆した。ただ、7月会合での利上げについては「まだ決まっていない」と説明した。「インフレ低下のために必要な経済の条件がそろいつつあるとほぼ言えるだろう」と米景気や労働市場の過熱が解消しつつあるとの見解も示した。
「パウエル議長の発言内容は政策金利見通しが示すほどタカ派よりに聞こえなかった」との声があり、ダウ平均は議長会見中に下げ幅を縮小した。
朝方発表された5月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.3%低下と、市場予想を下回り、インフレ圧力緩和が示されたが、相場への影響は限られた。
医療保険のユナイテッドヘルス・グループは6%超安となり、ダウ平均を200ドルあまり押し下げた。13日の投資家向け説明会で経済正常化に伴って高齢者の手術件数が回復しており、保険金支払いが増加するとの見通しを示したことが業績不透明感につながった。
航空機のボーイングや建機のキャタピラーも売られた。一方、スポーツ用品のナイキや半導体のインテルは大幅に上昇し、ダウ平均を支えた。
ナスダック総合株価指数は5日続伸した。前日比53.156ポイント(0.4%)高の1万3626.477と、昨年4月以来の高値で終えた。半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や同業のエヌビディアなどが高い。電気自動車のテスラは14営業日ぶりに反落した。
S&P500種株価指数は小幅に5日続伸した。前日比3.58ポイント(0.1%)高の4372.59と、昨年4月以来の高値で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比75円高の3万3490円で終えた。この日は日経平均株価が連日で33年ぶりの高値を更新し、先物にも買いが優勢だった。だが、米連邦準備理事会(FRB)は14日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内に市場予想を上回るペースで利上げする見通しを示した。
米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した金利見通しで利上げ長期化が警戒される中、NYダウは7営業日ぶりに反落した。日経平均先物の上値は限られた。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7602.74(+7.96)
14日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日に比べ7.96ポイント(0.10%)高の7602.74で取引を終えた。14日発表の月次ベースの4月の英実質国内総生産(GDP)が前月比0.2%増と、前月の減少から一転して増え、市場予想に一致した。高インフレが続くなかでも英経済が底堅さを維持しているとの見方が投資家心理を支えた。資源や金融セクターが上昇した。
指数は引けにかけて伸び悩んだ。英国時間14日夜に控える米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を見極めたいとの雰囲気が強く、利益確定の売りが出た。
個別では、医療機器大手スミス・アンド・ネフューが5.05%高で上昇率トップ。鉱業大手アングロ・アメリカンが4.01%高、産銅大手アントファガスタが3.48%高、セメント大手CRHが3.16%高で続いた。一方、ポーランド企業の買収が伝わった賭け屋大手エンテインは8.70%安と急落。通信大手BTは2.74%安、投資会社ハーグリーブス・ランズダウンも2.20%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16310.79(+80.11)
14日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸した。前日に比べ80.11ポイント(0.49%)高の1万6310.79と、5月19日以来約1カ月ぶりに過去最高値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)が14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が投資家心理を支えた。
中国当局による追加の景気刺激策への期待も根強く、自動車やテクノロジー、金融の一角が上昇した。
個別では、通販大手ザランドが4.18%高、不動産大手ボノビアが3.62%高、香料大手シムライズが2.16%高と上昇した半面、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズは1.74%安、日用品大手ヘンケルは1.30%安、防衛大手ラインメタルは1.05%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7328.53(+37.73)
フランスCAC40種指数は0.52%高だった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りがほぼ確実になったとの見方が台頭。参加者の政策金利見通しもハト派的な内容になるとの思惑から、景気動向に敏感な金融株や資源株を中心に買いが入った。
