7日午前の日経平均株価は大幅に反落し、前引けは前日比696円50銭安の3万7008円43銭だった。
前日の米株式市場で、ハイテク株が急落しNYダウは427ドル安、ナスダック指数は2%強の下落となった。為替も一時147円台前半の円高水準をつけた。トランプ米大統領の関税政策による世界経済への影響が警戒された。これを受けた東京市場は売りが膨らむ展開となり、日経平均株価は一時800円を超える下落で3万6800円台まで値を下げる場面があった。ただ、売り一巡後はやや下げ渋った。半導体関連などハイテク株が安い。
人工知能(AI)向けのカスタム半導体(ASIC)を手掛けるマーベル・テクノロジーの四半期決算で、売上高の過半を占める主力のデータセンター部門が振るわず、株価が急落したことがきっかけとなり、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は7カ月ぶりの安値で終えた。東京株式市場でもアドバンテストや東京エレクなど半導体関連株の下げが目立ち、日経平均を下押しした。
トランプ米大統領が掲げる関税強化による世界経済への影響を警戒する雰囲気も引き続き強かった。トランプ氏は6日、4日に発動したカナダとメキシコへの25%の追加関税について大規模な救済措置を認めると発表した。一方、鉄鋼とアルミニウムに対する関税は予定通り12日に発動するとしたほか、自動車産業への救済措置については短期にとどまるとも警告。関税政策の不透明感から、週末を控えてリスク資産を減らす動きも出やすかった。もっとも心理的節目の3万7000円を下回る水準では押し目買いも入り、朝安後は底堅さもみられた。
為替は1ドル147円60銭台と東京時間9時時点との比較では円高ドル安に振れており、昨夜の147円30銭台を試す可能性もある。今晩の海外時間では、米連邦公開市場委員会(FOMC)関係者の講演が多く予定されていることから、後場の東京市場は様子見ムードが強まりそうな状況にある。ただ、為替が円高傾向を強めると、積極的な日本株買いが手控えられていることなどから、日経平均は一段安の可能性もあろう。為替を横目に見た神経質な地合いとなりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは34.85ポイント(1.27%)安の2716.56だった。JPXプライム150指数も反落した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3338億円、売買高は9億3212万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1133。値上がりは451、横ばいは54だった。
業種別株価指数(33業種)はその他製品、電気機器、精密機器、不動産業などが下落した。石油・石炭製品、鉄鋼などは上昇した。
個別銘柄では、ソニーグループなど足元買われていたエンタメ関連が大幅安となったほか、フジクラ、古河電工など電線株が売り優勢。また、ソシオネクスト、東京エレクトロン、ルネサスエレクトロニクス、ソフトバンクグループ(SBG)など半導体株の一角も弱い。川崎重工業やIHIも軟調。ファーストリテイリングが値を下げ、任天堂、コナミGやセブン&アイ・ホールディングス、リクルートが下落した。このほか、中外製薬、テルモ、日本製鋼所、ZOZO、日立、サッポロホールディングスなどが下落した。
半面、一部証券会社によるポジティブなレポートが材料視されてJR西日本が買われたほか、三菱重工業はトランプ大統領の発言などが刺激材料となり上昇。ディスコ、レーザーテックが高く、DMG森精機や三菱電機が堅調。日産自動車が値を上げた。ブリヂストン、ニコン、東海カーボン、住友化学、クボタが上昇した。想定外の自社株買いを発表した日産化学も買われた。
