68ドル高、利下げ期待、米政府閉鎖懸念は重荷

29日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比68ドル78セント(0.14%)高の4万6316ドル07セントで終えた。
 
26日に発表された8月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.7%上昇と、市場予想と一致。年内の追加利下げ観測を揺るがす内容ではないとの見方が広がり、株価を下支えした。
 
人工知能(AI)関連銘柄への押し目買いも相場を支えた。AI投資過熱への警戒を背景に足元で軟調だったエヌビディアに買いが優勢だった。ダウ平均の構成銘柄ではないが半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーなどにも見直し買いが入った。

トランプ米大統領は29日にイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、ネタニヤフ氏はカタール攻撃を謝罪した。米ホワイトハウスは同日午後、パレスチナ自治区ガザにおける停戦案を発表した。イスラム組織ハマスが72時間以内に人質をすべて解放することなどが条件となる。ハマスの承認は得られていないが、中東情勢の緊張への懸念が薄れるとの期待感は投資家心理を支えた面があった。

 
 一方、米連邦政府の一部が閉鎖されるリスクが警戒される中、ダウ平均はこの日マイナス圏で推移する場面もあった。連邦政府の2025会計年度(24年10月~25年9月)末が30日に迫っており、つなぎ予算が成立しなければ、来月1日から予算切れで政府機関の一部が閉鎖される。医療関連予算では与野党の隔たりが大きく、閉鎖を回避できるか不透明感が強く、相場の重荷となった。
トランプ氏は9月29日午後に民主党上院トップのシューマー院内総務らと会談する。民主党が数日間分の予算案を提案するとの観測があった一方、両陣営が歩み寄るのは難しいとの見方も根強かった。

政府機関の一部閉鎖に陥った場合でも必要不可欠な公共サービスは継続される。一方、労働省が発表する雇用統計などの経済指標の大部分の発表が遅れるとみられる。事態の進展を見極めたい投資家が多く、積極的に買いを入れにくい雰囲気があった。

ダウ平均ではウォルト・ディズニーやキャタピラー、アマゾン・ドット・コム、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が買われた。一方、シェブロンやボーイング、IBMなどが下げた。

ナスダック総合株価指数は続伸した。前週末比107.086ポイント(0.47%)高の2万2591.154(速報値)で終えた。アナリストが需要の強さを背景に目標株価を引き上げた半導体メモリーのウエスタン・デジタルやハードディスク駆動装置(HDD)のシーゲート・テクノロジーが高い。アナリストが投資判断を引き上げた半導体製造装置のラムリサーチも上げた。

 
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

29日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前週末比40円高の4万5170円で終えた。同日は日経平均株価が下落したものの、米株式相場が堅調に推移したのもあってシカゴ市場の日経平均先物には買いがやや優勢となった。

シカゴ日経225先物 (円建て)

45170 ( +40 )

シカゴ日経225先物 (ドル建て)

45260 ( +130 )

( )は大阪取引所終値比

 

 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

29日の英FTSE100種総合株価指数は小幅に続伸し、前週末比15.01ポイント(0.16%)高の9299.84で終えた。国際商品市場での金や銅先物の相場上昇を背景に、英豪リオティントをはじめ資源関連の銘柄が買われた。
 
FTSE100種指数は取引時間中に一時、8月22日につけた最高値(9321)を上回る場面があった。2026年1月1日付で最高経営責任者(CEO)を交代すると公表した製薬の英GSKを含め、ヘルスケア関連の銘柄が上げた。不動産関連も上昇した。
 
一方で、原油先物の値下がりを受けて英BPなど石油株が下げ、指数の上値を抑えた。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成する「OPECプラス」が11月も原油増産の継続を承認する方針だと伝わったことなどを材料に、原油需給の緩みが警戒されている。
 
FTSEの構成銘柄では、産銅大手アントファガスタが5.29%高、小売り大手JDスポーツ・ファッションが4.52%高、自動車保険のアドミラル・グループが3.63%高と上昇。一方、飲料大手コカ・コーラ・ヘレニック・ボトリング・カンパニーは3.81%安、石油大手BPは2.45%安、航空機エンジン大手ロールス・ロイスは1.61%安と売られた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
 

29日のドイツ株価指数(DAX)は前週末比横ばい圏で終えた。終値は同5.59ポイント(0.02%)高の2万3745.06だった。米国での追加利下げ観測が投資家心理を支えた。半面、米国で「つなぎ予算案」の成立が遅れて米連邦政府の一部機関が閉鎖されるリスクが意識され、株価の上値を抑えた。
個別では、製薬大手バイエルが1.71%高、防衛大手ラインメタルが1.43%高、不動産大手ボノビアが1.35%高となった半面、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズは3.40%安、コメルツ銀行は3.01%安、ドイツ銀行は1.70%安で取引を終えた。

■フランス・パリ株価指数

欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は小幅に続伸し、前週末比0.12%高で終えた。

 

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