10日午前の日経平均株価は大幅に続伸し、午前終値は前日比623円61銭(1.85%)高の3万4386円79銭だった。日経平均は取引時間中としては1990年3月以来、33年10カ月ぶりに節目の3万4000円を上回った。
前日は欧州株市場で主要国の株価が総じて軟調だったほか、米国株市場でもNYダウが4日ぶりに反落したが、東京株式市場のリスク選好の流れは変わらなかった。外国為替市場でドルが買い戻され円安方向に振れていることがハイテクセクター中心に追い風となった。また、前日の米国株市場でエヌビディアが連日の最高値更新に買われていることを受け、半導体関連株に投資資金が誘導され全体相場の牽引役を担っている。
東エレクやアドテストをはじめ半導体関連などに買いが優勢だった。投資余力が高まっている海外勢の買いに加えて、新しい少額投資非課税制度(NISA)経由の国内個人投資家の買いも指摘された。
日経平均が3万4000円を上回った後も主力株への買いの勢いは衰えず、上げ幅を拡大する展開となった。市場では「日本がデフレから賃金上昇を伴うインフレに移行するという見方が広がっているのに加えて、金利水準がなおも低く抑えられている市場環境の良好さに目を付けた海外勢の買いも強まっているようだ」との声が出ていた。
後場の日経平均は、さすがに上値の重さも意識されるだろうが、TOPIXも昨年来高値を更新するなど幅広い銘柄が買われていることから、上げ幅を急速に縮める展開は回避されよう。
値がさハイテクが強いだけではなく、トヨタ自や銀行株、商社株なども強い動きを見せると、世界的な日本株出遅れ修正の動きが継続する可能性もある。なお、今週から小売企業の決算発表が本格化している。円安で逆風の小売企業だが、アク抜けが意識されるか今週は注目したい。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは31.25ポイント(1.30%)高の2444.34と一時、昨年来高値を上回った。JPXプライム150指数も続伸し、17.60ポイント(1.64%)高の1092.65で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9549億円、売買高は7億3559万株だった。東証プライムの値上がり銘柄は1251。値下がりは354、横ばいは52だった。
業種別株価指数(33業種)では精密機器、その他製品、医薬品の上昇が目立った。下落は海運業のみ。
個別では、断トツの売買代金が続くレーザーテックが買われたほか、東京エレクトロン、アドバンテストなども上昇。JTも商いを伴い堅調。ソニーグループ、ファストリ、京セラ、TDKが上昇した。東京エレクトロン デバイスが大幅高、小松マテーレも値を飛ばした。
半面、野村マイクロ・サイエンスが利益確定売りでやや軟調、富士通、スクリン、ニトリHD、楽天グループが下落した。ネクステージが急落、ウエルシアホールディングスも大幅安となった。三井E&Sの下げも目立つ。ヨンドシーホールディングス、北陸電気工事なども安い。
