2日午前の日経平均株価は大幅反落した。前日比615円29銭(1.84%)安の3万2861円29銭と、節目の3万3000円を下回って前場を終えた。
きょう前場は、リスク回避ムードの強い地合いで日経平均は急反落となり、フシ目の3万3000円大台を割り込んだ。前日の欧州株市場で主要国の株価が総じて軟調だったほか、米国株市場でもNYダウは続伸したものの、長期金利の上昇を受けハイテク株が軟調に推移したことでナスダック総合株価指数は反落した。東京株式市場では日経平均が前日までの2営業日で700円強上昇していたこともあって、目先利食い急ぎの動きが顕在化している。国内でも長期債利回りが0.605%台まで上昇し、金利の先高観が半導体関連などハイテクセクターの重荷となっている。日経平均は先物主導で前場取引終盤に下げ足を加速し600円を超える下落となった。
金利上昇が逆風になりやすい高PER(株価収益率)の半導体関連の下げが加速した。東エレクやアドテストの下げが相場を押し下げた。
日銀は過度な金利上昇を抑える姿勢を示しているものの、2日午前に通知した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、買い入れ予定額を前回から増額しなかったことで債券売りが増え、金利上昇と株安につながった。
大手格付け会社フィッチ・レーティングスによる米国の長期外貨建て発行体格付けの引き下げも、米株価指数先物の下げを通じて日本株の売りを促す場面があった。ただ、ゴールドマン・サックスはリポートで、格下げについて「金融市場に与える直接的な影響はほとんどないだろう」との認識を示すなど、冷静な受け止めも目立った。
トヨタは逆行高となった。前日の取引時間中に発表した決算について、円安だけでなく値上げ効果も出ていると評価する見方があり、あらためて買いを集めた。
足元ではドル円が1ドル=143円台にまで上昇するなど、為替の円安が大きく進行している。円安による輸入インフレへの警戒感なども踏まえると、日銀も臨時オペの積極的な実施をいつまでも続けることは難しいと考えられる。こうした背景から、今後、0.6%で抑えられている10年債利回りが0.7%台を超えてくることなども想定されよう。この場合、依然として高水準にある投機筋の円売りポジションの巻き戻しにより、為替の円高が急速に進行する可能性がある。前日の米国時間から、為替の円安進行に対する日経225先物の上昇という従来の連動性が薄れているため、円高が進んだ場合の日本株の下落には注意したい。
東証株価指数(TOPIX)は23.33ポイント安の2314.03と反落して午前の取引を終えた。JPXプライム150指数は反落し、前引けは前日比14.70ポイント(1.39%)安の1039.42だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆2697億円、売買高は9億2222万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1328と、全体の約7割を占めた。値上がりは446銘柄、変わらずは60銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は保険業、証券・商品先物取引業、電気・ガス業、精密機器、卸売業などが下落。上昇は非鉄金属、輸送用機器など。
個別では、レーザーテックが安く、アドバンテスト、東京エレクトロンも下落するなど半導体関連が売られた。ソフトバンクグループ(SBG)、テルモが軟調、ファーストリテイリングの下げも目立つ。三菱商事も値を下げた。アウトソーシングが急落、ゼンショーホールディングス、コニカミノルタなども大幅安となった。
半面、売買代金トップとなったトヨタ自動車が全般に逆行して高い。住友電、日立建機、フジクラが上昇した。キーエンスが買い優勢だったほか、コマツも堅調。アイ・アールジャパンホールディングスは一時ストップ高に買われる人気となった。エンプラス、山崎製パンも値を飛ばした。
