4日午前の日経平均株価は続落し、前日比603円05銭(1.93%)安の3万0634円89銭で前場を終えた。取引時間中として6月1日以来、4カ月ぶりに3万1000円を割り込んだ。
きょう前場はリスク回避の売り圧力が強まり、日経平均は600円を超える急落で3万1000円台を割り込んだ。前日の欧米株が全面安に売られたことで市場のセンチメントが一段と冷やされている。米長期金利の上昇が嫌気されており、外国為替市場では一時1ドル=150円台をつけるなど急速に円安に振れているが、足もとでこれを好感する動きはみられない。全体の9割に相当する銘柄が下落した。また、売買代金は前場段階で2兆に乗せるなど高水準。東証株価指数(TOPIX)の下落率は2%を超えた。
3日の米債券市場では長期金利が一時4.81%と、連日で16年ぶりの高水準を付けた。同日発表の米雇用指標が労働市場の底堅さを示し、米金融引き締めが長期化するとの見方が強まった。米長期金利の上昇で相対的な割高感が意識され、株式を売る動きが国内外で加速している。特にPER(株価収益率)の高いハイテク株の下げがきつく、4日の東京株式市場でも東エレクやアドテストなど値がさの半導体関連株が売られ、日経平均を下押しした。
外国為替市場では円安・ドル高が進行しており、海外投資家からドル建て日経平均のパフォーマンス悪化を警戒した売りが出ているとの見方も日本株相場の重荷だった。
前日と同様、景気敏感・バリュー(割安)株の方がハイテク・グロース(成長)株より下落率の大きいことが目立っている。セオリー通りであれば、長期金利の上昇は株価バリュエーションが高く、金利に対する感応度の高いグロース株の方により大きなネガティブな影響をもたらしている。
しかし、10-12月期に入ったことで、機関投資家は前四半期(7-9月期)に株価パフォーマンスの良かったバリュー株に利益確定売りを出すなど持ち高調整を進めているもよう。対して、前四半期に株価パフォーマンスの冴えなかったグロース株についてはこうした影響が小さく、これが金利上昇下でのセオリーに反した物色動向につながっているようだ。歯止めのかからない米長期金利の上昇は株式市場にとってネガティブな材料でしかないが、グロース株の金利上昇に対する底堅さが見られている点はポジティブに捉えられる。
東証株価指数(TOPIX)は続落し、前引け時点で45.71ポイント(2.01%)安の2229.76だった。日銀は前引けのTOPIXの下落率が2%を超えると、上場投資信託(ETF)買いを入れることが多く、市場では「日銀によるETF買いが後場の日本株相場を支える可能性がある」との声が出ている。日銀がETFを買い入れれば3月14日以来となる。JPXプライム150指数は前引け時点で14.76ポイント(1.49%)安の978.33だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆308億円、売買高は9億1489万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1642と、全体の約9割を占めた。値上がりは171、変わらずは22銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は輸送用機器、電気・ガス業、卸売業、鉄鋼などの下落率が大きかった。上昇は精密機器のみ。
個別ではファストリやソフトバンクグループ(SBG)など値がさ株が安い。きょうも断トツの売買代金をこなしているレーザーテックが大きく売り優勢、東京エレクトロン、アドバンテストなども安い。三菱UFJフィナンシャル・グループが大幅安、三菱重工業、日本製鉄なども売られた。東京電力ホールディングス、日立製作所なども安い。イトーキ、イー・ガーディアンは急落した。トヨタやホンダ、SUBARUなど自動車株の下げも目立った。
半面、キーエンスがしっかり、リクルートホールディングス、オリエンタルランドなども頑強。ネクステージも買い戻された。このほか、前日まで2日連続ストップ高のケーヨーはきょうも大幅高に買われた。資生堂が高い。オリンパスやテルモが買われた。
