8日午前の日経平均株価は大幅に続伸し、前週末比598円99銭高の2万9378円18銭で前場を終えた。
寄り付きは52円高でスタートしたが、その後、大口の買いが入り日経平均は一時600円を超す上昇となり、取引時間中としては1990年8月以来、30年6カ月ぶりとなる2万9000円台を回復した。鉄鋼や海運、不動産など景気敏感株を中心に買いが入り、33業種全てが上昇する全面高となっている。米国での追加経済対策の成立に対する期待が強まっていることも追い風に働いている。
日本時間8日の米株価指数先物が堅調に推移したことも追い風で、上げ幅は一時600円を超えた。
米上下院は5日、予算決議を可決した。バイデン大統領が公表済みの1.9兆ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルスの経済対策について時間をかけずに迅速に実施する意向を示したことを受け、景気敏感株を中心に幅広い銘柄が買われ、東証株価指数(TOPIX)の33業種は全業種が上昇した。
市場では米経済対策に関して「民主党だけで可決できる手続きが進み、バイデン政権が掲げる1兆9000億ドル規模に近い水準で実現するとの期待が広がった」という。米国の財政出動による景気回復の恩恵を日本企業も受けるとの思惑から、株を買う勢いが強まった。
国内企業による業績予想の上方修正が相次ぎ、少し前に比べて割高感が薄れつつある。
大手証券関係者は「普段は値動きが重い日本製鉄の上昇率が一時、10%を超えた。出遅れ株に流れが来ている」と話していた。
JPX日経インデックス400とTOPIXも大幅高。TOPIXは1991年6月以来29年8カ月ぶりの高値水準まで上昇した。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆6987億円、売買高は8億713万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1651と、全体の75%を占めた。値下がりは458、変わらずは80だった。
業種別株価指数(33業種)は全て上昇した。鉄鋼、鉱業、海運業の上昇率が目立った。
個別銘柄では、日本製鉄、ソフトバンクグループ(SBG)、ダイキン、セコム、神戸鋼、国際帝石が上げた。レーザーテック、日立、三井住友FG、クボタ、ミネベア、日本電産も高い。トヨタ、日産自、花王も上昇した。
一方、ダイフクが大幅安。ルネサス、ソニーやスズキ、AGCは下落した。村田製、武田は小安い。NTTデータがさえない。
東証2部株価指数は前週末比46.36ポイント高の7307.05ポイントと6日続伸した。
出来高1億3250万株。値上がり銘柄数は261、値下がり銘柄数は152となった。
個別ではブルボン、東亜石油、JFEコンテイナー、トーソー、神鋼環境ソリューションなど7銘柄が昨年来高値を更新。千代田化工建設、オーケーエム、サイオス、ファーマフーズ、児玉化学工業が買われた。
一方、オーナンバ、マナック、リスクモンスター、Abalance、MCJが売られた。
