30日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比582円40銭(1.51%)安の3万7974円47銭だった。
きょう前場はリスク回避目的の売りが加速する格好となった。前日の欧米株市場が全面安に売り込まれ、これを嫌気して主力株をはじめ幅広い銘柄が下値を探る展開となった。
欧米や日本で長期金利の上昇傾向が強まっていることで投資家心理が冷やされ、日経平均寄与度の大きいハイテク値がさ株への売りが全体相場を押し下げている。日経平均は先物主導で一時900円を上回る下げに見舞われたが、その後は買い戻しの動きが観測され下げ渋った。しかし、前引け時点でフシ目の3万8000円大台を割り込んでいる。取引時間中に3万8000円を割り込むのは5月13日以来およそ2週間ぶり。一方、個別株は中小型株に高い銘柄も散見され、前場の値下がり銘柄数は約5割にとどまった。
米連邦準備理事会(FRB)が29日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、経済活動は前回4月の報告時点から「拡大を続けた」と総括した。堅調な米経済を受けたインフレの持続でFRBの利下げ開始は先になるとの見方が強まり、米長期金利が5月上旬以来の水準まで上昇。東京株式市場で投資家心理が冷え込んだ。
30日午前の国内債券市場でも長期金利が一段と上昇(債券価格は下落)し、指標となる新発10年物国債利回りは1.100%と13年ぶりの高水準をつける場面があった。日米の長期金利上昇で株式の相対的な割高感が意識され、アドテストなど半導体関連株をはじめとした高PER(株価収益率)株の下げが目立った。ただ、心理的節目の3万8000円を割り込み割安感が強まったことで、売り一巡後は押し目買いが入り下げ幅を縮小した。
市場では「日銀の金融政策の不透明感が強すぎることが下落率を大きくした。現状では金利上昇がマイナスになるハイテク株の比率が多い日本株を積極的に買いたいと考える海外の投資家は少ない」とみていた。
長期金利の指標である新発10年物国債利回りは一時1.100%まで上昇するなど上昇基調が継続している。日本銀行が7月にも金利を引き上げるとの観測も浮上するなど、債券市場は思惑先行の地合いが強まっている。株式市場では銀行、保険といった金融株の支援材料となるが、ハイテクなどグロース株を中心に金利上昇は売り材料となり日経平均にはネガティブなインパクトが先行している。後場の東京株式市場は、朝方の急落に対するリバウンドが少し入りそうだが、大引けでTOPIXリバランスが実施される。需給イベントを控えていることから、積極的に押し目を拾う動きは手控えられよう。
東証株価指数(TOPIX)は続落し、前引けは20.01ポイント(0.73%)安の2721.61だった。JPXプライム150指数は続落し、11.43ポイント(0.95%)安の1188.97で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1090億円、売買高は8億3330万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は812。値上がりは770、横ばいは64だった。
業種別株価指数(33業種)は鉱業、卸売業、非鉄金属、電気機器などが下落。上昇はパルプ・紙、倉庫・運輸関連業など。
個別では売買代金首位となったディスコやきょうは売買代金で2位となっているレーザーテック、東京エレクトロンなど半導体製造装置関連が安く、テルモ、ファナック、日東電も売られた。東京電力ホールディングスも続落歩調となっている。ここ強調展開にあったソフトバンクグループ(SBG)が利食われたほか、ファーストリテイリングも安い。タマホームは急落した。
半面、三井住友フィナンシャルグループが堅調、三菱重工業も売り買い交錯もやや買いが優勢となっている。また、アシックスが続伸、ソニーグループも底堅さを発揮した。北越コーポレーションが値を飛ばしている。三浦工業も大幅続伸。大塚HDやSUBARU、TOTOは上昇した。
