2日午前の日経平均株価は続落し、前引けは前日比57円10銭(0.21%)安の2万7604円37銭だった。朝方は前日の大幅安を受け自律反発狙いの買いが先行したが、米国の経済や金融政策の先行きに対する警戒感は強く、上値では戻り売りが出て下げに転じた。
米国に倣って、今晩の米8月雇用統計を前に買い戻しが入る可能性も意識されたが、実際は軟調となっている。今の相場の脆弱性と、今晩の米雇用統計に対する警戒感の強さが窺える。8月31日に発表された米8月ADP雇用統計は13万2000人の増加と市場予想(30万人増)を下回った。ただ、ADP雇用統計と米雇用統計の結果の整合性は高くないうえ、8月分からはADP雇用統計の方が新たな統計手法を採用しているため、これをもって労働市場が軟化してきたとは言い切れない。今晩の米8月雇用統計では雇用者数の伸びは30万人の増加と予想されている。ちなみに7月は52万8000人と大幅な増加だった。平均賃金の伸びを含め、少しでも市場予想を上回れば、労働市場の逼迫感が意識され、株式の売りに繋がる可能性があるだろう。
2日の日本時間夜に8月の米雇用統計の発表が予定されており、米経済の動向や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に対する警戒感を受けた売りが出た。前日の原油先物安を背景に、INPEXなど石油関連株も売られた。
日経平均は前日に430円安となったことで、寄り付き直後に自律反発期待の買いが入った。投資家の注目する200日移動線(1日時点で2万7501円)に接近したことから割安感も強まり、上げ幅が一時100円を超える場面があった。
今週だけで日経平均は1000円程も下落している。心理的な節目となる2万7500円近辺に200日移動平均線、75日線が並んでいるが、週明けこれらを割ってしまうと、短期筋は今度買い持ち高の解消だけでなく、新たに売り持ち高の積み上げに回るとみられるため、警戒が必要だろう。
市場関係者は、「前日の原油価格は下落したが以前と比べ高い水準なのは変わりない。米金融引き締めが一段と強化されるとの観測は足元で強くなっており、積極的にリスクを取ろうとする投資家は少ない」と指摘した。
東証株価指数(TOPIX)は続落し、午前終値は前日比9.44ポイント(0.49%)安の1926.05だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆2169億円、売買高は5億735万株だった。東証プライム市場の値下がり銘柄数は1302と、全体の約7割を占めた。値上がりは457、変わらずは78だった。
業種別株価指数(全33業種)では鉱業、石油・石炭製品、鉄鋼の下落が目立った。上昇は保険業、パルプ・紙、海運業など。
個別では、ネクソンやバンナムHDなどゲーム関連株が売られた。レーザーテック、ルネサスなど半導体関連のほか、ソニーG、新光電工のハイテク株が軟調。INPEX、石油資源開発の鉱業、三井物産、住友商事の商社、日本製鉄、JFEの鉄鋼、住友鉱、三井金の鉱業など市況関連株が全般下落。三菱重、IHIの防衛・原発関連も安い。第一三共、資生堂、エムスリーも安い。JMDC、ベイカレント、ラクスなどグロース株も全般冴えない。東証プライム市場の下落率上位にもMSOL、サイボウズなど中小型グロース株が散見される。
一方、ファーストリテ、ダイキンの値がさ株の一角が堅調。市況関連株では郵船、商船三井の海運がしっかり。グロース株ではメルカリが大幅高で、リクルートHDも堅調。1ドル=140円台と24年ぶりの円安水準を記録したことでホンダ、三菱自、スズキなど自動車の一角が買い優勢。中外製薬、塩野義の医薬品もしっかり。百貨店各社の既存店売上高が好調だったことで三越伊勢丹、高島屋が年初来高値を更新し、Jフロント、H2Oリテイル、松屋なども大幅に上昇した。オリンパス、セブン&アイも買われた。
