27日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比56円59銭高の3万8198円96銭だった。
注目を集めた米半導体大手エヌビディア<NVDA>の24年11月~25年1月期決算は、売上高や純利益、1株当たり利益が市場予想を上回る好調な内容だった。25年2~4月期の売上高見通しも予想を上回った。ただ、材料出尽くし感もあり、時間外取引で同社の株価は下落した。これを受けた東京株式市場は気迷い感も漂うなか、日経平均株価は上昇してスタートし、一時200円を超える上昇となった。
しかし、買い一巡後は上昇幅が縮小し、小幅なマイナス圏に転じる場面があった。アドテストが売りに押されるなど、好感した反応は限定的だった。為替が円高方向に振れたことも警戒された。半導体関連株には買い一巡後に伸び悩む銘柄も目立つ。
外国為替市場で円相場が対ドルで強含むなど好材料は乏しく、小幅ながら下げに転じる場面もあった。
トランプ米大統領は26日、欧州連合(EU)からの輸入品に25%の関税を課す方針を示した。市場では「EUや中国などと比べて日本は狙い撃ちにされてはいないが、外需依存型企業の業績への影響は大きく、慎重なスタンスの投資家が多そうだ」との声が聞かれた。
注目のエヌビディア決算も起爆剤とならなかったことなどから、後場の東京市場は様子見ムードの強い展開が続きそうだ。積極的な買い材料に乏しいことから、為替が朝方につけた1ドル148円70銭水準まで円高ドル安が進めば、日経平均は3万7000円台突入の可能性もあろう。投資家のセンチメントは徐々に悪化していることで、一段安に警戒したい。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは13.23ポイント(0.49%)高の2729.63だった。JPXプライム150指数は反発し、4.80ポイント(0.40%)高の1193.95で前場を終えた。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1221億円、売買高は8億6183万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1142。値下がりは438、横ばいは55だった。
業種別では、非鉄金属、その他製品、卸売、鉄鋼、保険業などが買われた一方、小売、空運、精密機器、医薬品、不動産などがさえない。
個別銘柄では、エヌビディア決算を受けて、ソシオネクスト、スクリーンHD、ディスコなど半導体株の一角は買われた。また、フジクラ、住友電工なども上昇。また、内田社長交代報道が伝わった日産自も買い優勢となった。このほか、荏原製作所、カナデビア、JFEホールディングス、レゾナック、IHIなども買われた。
伊藤忠商事が値を上げた。三菱UFJフィナンシャル・グループやソフトバンクグループがしっかり。
一方、創業家が目指していた非公開化が伊藤忠離脱によって仕切り直しとなったことで7&iHDは大幅下落となったほか、柏崎刈羽原発のテロ対策施設の完成が大幅に遅れると発表した東京電力HDも下落し昨年来安値を更新。サンリオやソニーグループ、ファーストリテイリング、アドバンテスト、レーザーテックが安く、エムスリー、JAL、ANAホールディングス、イオンなどが下落した。また、中外薬や塩野義、武田など医薬品株も下げた。
