552円安と続落、円高進行で株売り強まる

8日午前の日経平均株価は大幅に続落し、前日比552円98銭(1.68%)安の3万2305円33銭で前場を終えた。
 
日銀の金融政策修正に絡む思惑で、急激な円高が進行したことを嫌気する売りが優勢となった。為替相場は、前日のニューヨーク市場で一時1ドル=141円台への円高が進行。この円高進行を警戒して、日経平均株価は値を下げてスタートした。輸出採算の悪化が意識されてトヨタやデンソーなど自動車株に売りが出て日経平均を押し下げた。
為替相場は朝方に144円台まで値を戻していたが、午前10時頃に再び142円台後半に円高が進行。これを受け、ハイテク株や自動車株などが売られ日経平均株価の下げ幅は500円を超えた。一方、銀行株や空運株はしっかり。
 
外国為替市場で円相場が対ドルで急伸し、輸出関連株を中心に下げた。株価指数先物にも短期筋とみられる売りが出て、日経平均を下押しした。
 
円急伸の背景にあったのは日銀が早期にマイナス金利の解除に動くとの観測だ。市場では「実際にマイナス金利解除まで踏み込めば住宅ローン金利の上昇や消費減速などを通じて実体経済への影響が大きくなるとみられ、いったんリスク回避の売りが膨らんでいる」との見方があった。
 
取引開始前に発表された10月の家計調査は2人以上世帯の実質消費支出が前年同月比2.5%減少(市場予想:同3.0%減)した。また、4-9月期の国内総生産(GDP)改定値は実質前期比0.7%減、年率換算では2.9%減だった。そのほか、10月の国際収支状況(速報)によると、経常収支は2兆5828億円の黒字だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆8919億円の黒字だった。
 
植田総裁は7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べており、政策修正を意識した円買い・ドル売りが膨らんだ。不安定な動きとなる中、引き続きプライム市場の輸出関連株など主力銘柄はさえない動きとなろう。

 


 
東証株価指数(TOPIX)は続落し、前引け時点で32.82ポイント(1.39%)安の2327.09だった。JPXプライム150指数は続落し、14.18ポイント(1.36%)安の1028.26だった。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆7239億円、売買高は10億9790万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1364と、全体の約8割を占めた。値上がりは268銘柄、変わらずは26銘柄だった。
 
業種別株価指数(33業種)は輸送用機器、ゴム製品、鉄鋼、非鉄金属などが下落した。上昇は空運業、銀行業など。
 
個別では、東エレクやレーザーテックなどの半導体関連株が軟調に推移。また、トヨタ自やホンダなどの自動車関連株、三菱商事や三井物産などの商社株、川崎船や日本郵船などの海運株も下落。ソフトバンクG、ソニーG、ファーストリテ、キーエンス、信越化、JT、三菱重工業、豊田通商、リコー、コニカミノルなども下落した。ほか、上半期上振れ決算となったが好材料出尽くし感が先行したビューティガレージが急落、グッドコムアセット、三井E&Sなどが値下がり率上位となった。
 
一方、三井住友や三菱UFJなどの金融株の一角、日本航空やANAホールディングスなどの空運株が堅調に推移した。また、ニトリホールディングス、ゆうちょ銀行、リクルートHD、ルネサス、LINEヤフー、スクリンなども上昇した。ほか、第一生命HDによる新たな買収提案が発表されたベネフィット・ワン、前日にスモールミーティングを開催したニチレイが急騰、ローム、エアトリ、リログループなどが値上がり率上位となった。

 

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