23日午前の日経平均株価は続落し、前日比542円55銭(1.63%)安の3万2722円33銭で前場を終えた。節目の3万3000円をあっさり下回った。
東証株価指数(TOPIX)は34.37ポイント安の2262.13と、ともに大幅に下落して午前の取引を終えた。
前日の米国市場でNYダウは下落したが、ハイテク株は堅調でナスダック指数は上昇した。為替の円安進行も好感し、日経平均株価は朝方上昇してスタートした。一時200円を超える上昇となったが、買い一巡後は売りに押される展開。月末にかけて年金基金のリバランス(資産の再配分)に伴う売りなどが想定されるなか、株価指数先物への先回り的な売りが主導して現物株を押し下げた。ハイテク株などに売りが膨らみ、午前10時過ぎには下げ幅が拡大し一時570円強の下落となった。
日中値幅(高値と安値の差)は前引け時点で839円90銭とすでに今年最大だ。目立った売り材料は指摘されていないが、市場では「来週はリバランスに伴う売りで相場の上値が重くなる可能性が高く、先物に手じまい売りが膨らみやすかった」という声が出ていた。相場の過熱感を警戒した個人投資家からの売りも、下げに拍車をかけたとみられる。
ファストリ、ソフトバンクグループ(SBG)など主力銘柄を中心に下げた。アドテストには買いが先行したが次第に売りが優勢となった。
月末にかけてこれからリバランス売りが強まることを狙った短期筋による先物主導での仕掛け的な売りが原因と推察される。一方、前引け時点での東証プライム市場の売買代金は既に2兆4000億円を超えており、現物にもまとまった売りは出ているようだ。
需給以外の観点からは、昨日の当欄「景気敏感株が主役に代われるのか?」で指摘したように、世界景気のオーバーキルに対する懸念が強まっていることも株価下落の背景として挙げられる。すなわち、主要中央銀行による過度な金融引き締めが経済をソフトランディング(軟着陸)でなくハードランディングへと導いてしまう恐れだ。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆4006億円、売買高は8億5818万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1585と、全体の約86%を占めた。値上がりは208銘柄、横ばいは40銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は卸売業、非鉄金属、輸送用機器、鉄鋼の下落率が大きかった。上昇は電気・ガス業のみ。
個別銘柄では、三菱商事や丸紅、三井物産といった商社株が安く、アドバンテストやルネサスエレクトロニクスなど半導体関連株も軟調。ソフトバンクグループやファーストリテイリング、ダイキン、信越化、TDKも値を下げた。
半面、レーザーテックやセブン&アイ・ホールディングス、日本航空、エーザイ、宝HLD、イオンは高い。JAL、JR東などディフェンシブ系の一角が堅調。柏崎刈羽原発の再稼働を巡る報道を受けて東京電力HDが大幅高となり、九州電力は目標株価引き上げも材料視された。力の源HDは国内証券の新規買い推奨が手掛かりとされ大幅に上昇した。
