530円安と続落、米銀破綻でリスク回避続く

14日午前の日経平均株価は大幅に続落し、前日比530円32銭(1.91%)安の2万7302円64銭で前場を終えた。
 
きょう前場は引き続きリスク回避目的の売りが集中し、日経平均株価は大きく下値を探る展開を強いられた。一時は先物主導で700円以上も下落する場面があったが、前場取引終盤に買い戻され、やや下げ渋った。
米国で金融機関の破綻が相次いでいることで、金融システム不安が波及することを警戒した投資家の売りが全体相場の下げを助長している。銀行セクターの下げが目立つほか、外国為替市場でドル円相場が乱高下しており、自動車株など輸出株も買い手控え感が強い。プライム市場全体の96%の銘柄が下落している。
 
10日に経営破綻したシリコンバレーバンク(SVB)に続き、12日にシグネチャー・バンクが破綻したことを受け、世界の株式市場に動揺が広がっている。銀行を中心に金融株を売る動きが午前の東京市場でも続いた。三菱UFJが一時8%あまり下落した。りそなHDも一時10%安となり、昨年12月に日銀が政策修正を発表した後の上昇分をほぼ帳消しにした。第一生命HDも大幅安となり、業種別の東証株価指数(TOPIX)では保険が下落率で首位だった。
 
日本郵政が13日、傘下のゆうちょ銀株の売り出し価格について1131円に決めたと発表した。売却総額は1兆2000億円超と大きく、売り出し株取得を目的に個人投資家などが既存の保有株を売却する換金売りが相場下落に拍車を掛けたとの指摘もあった。日経平均はチャート分析上の下値支持とみられていた200日移動平均(2万7354円近辺)を下回り、下げが加速した側面もあるようだ。
 
イベントを契機に発生したボラティリティ(変動率)を利用してヘッジファンドなど短期筋が投機的な動きを強めていることが米地銀株の急落を招き、市場の不安心理を必要以上にかき立てているともいえそうだ。
米VIX指数は前日、危険水域とされる30を一時超え、日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)も1月中旬以来となる20を超えてきた。日米ともに主要株価指数が次々と心理的な節目やサポートラインを割り込んできていることから、すでに商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの売りが加速しているが、今後は、リスクパリティ戦略(ポートフォリオに占める各資産のリスク割合が均等になるように分散投資することで、リスクを低減させる運用手法)による売りなどもさらに膨らんでくる可能性があるだろう。
 
 
 



 
東証株価指数(TOPIX)は大幅に続落し、前場の下落率は2.34%だった。一時は下落率が3%を超えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1038億円、売買高は10億7217万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1767と、全体の9割を超えた。値上がりは60、変わらずは9銘柄だった。
 
業種別株価指数(全33業種)は銀行業、保険業、鉱業の下落が目立った。上昇は陸運業、医薬品の2業種のみ。
 
個別では三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクの下落が際立っている。また、トヨタが昨年来安値を更新した。日産自とマツダも安い。ソニーグループが安く、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリング、三菱商事なども安い。メイコーが急落、ACCESSも大きく値を下げた。
 
半面、レーザーテクが朝安後に上昇に転じた。JR東日本もしっかり。エーザイ、第一三共も買われた。ミマキエンジニアリングが大幅高、鎌倉新書、HEROZなども高い。

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