31日午前の日経平均株価は反発し、前週末比503円51銭(1.54%)高の3万3262円74銭で前場を終えた。
きょう前場は、広範囲に買いが優勢となり日経平均は一時600円を超える上昇をみせた。前週末の米国株市場では発表された景気指標などを受け、インフレに対する警戒感が後退、米金利が低下するなかハイテク株などを中心に買われた。これを受け東京市場でもセンチメントが強気に傾き、為替の円安なども強力な追い風となった。日経平均は前週末に日銀金融政策決定会合の結果を受けて一時波乱安となったものの、大引けは急速に下げ渋る展開で、きょうはその延長で空売りの買い戻しなどが全体を押し上げる格好となっている。日経平均はフシ目の3万3000円台を大きく回復したが、上値では戻り売りも顕在化し前引けはやや伸び悩む展開となった。
日銀が前週末に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟にすると決めた。一方、日銀の植田和男総裁は会合後の記者会見で「政策の正常化へ歩み出すという動きではない」と発言した。前週末の東京市場は大きく揺れたが、円相場が落ち着きをみせたことなどを背景に日本株に見直し買いが入った。
午前の中ごろに日経平均は上げ幅を拡大した。空売り比率(東証合計)は前週末28日時点で47%台と10日以来の高さとなっていたため、損失覚悟の買い戻しが入りやすかった。もっとも、日経平均が年初来高値に近づいたため、買い一巡後は戻り待ちや利益確定の売りが出て伸び悩んだ。
今週から国内企業決算が本格化する。プライム市場の主力銘柄の決算が相次ぐため、本日同様個別株物色が活発化することで商いが膨らむことが想定される。好決算銘柄の買いが優勢となれば、株価指数の回復につながろう。
そのほか、7月第3週(18~21日)投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を197億円買い越した(前週は2793億円の買い越し)。買い越しは4週連続で、個人投資家は126億円の買い越しで3週連続の買い越しとなった。さて、後場の日経平均はプラス圏での推移を継続できるか。前述のように雇用関連指標の発表が控えているなか、今週から企業決算が本格化するため、プライム市場の個別株物色が中心となりそうだ。新興市場でも、決算を発表した銘柄への注目は集まろう。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは、31.28ポイント(1.37%)高の2321.89と、今月3日に付けた年初来高値(2320.81)を上回った。JPXプライム150指数は反発した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆5366億円、売買高は9億9754万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1496と、全体の約8割を占めた。値下がりは287、横ばいは51銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は輸送用機器、卸売業、精密機器、鉄鋼が上昇率上位。下落は鉱業、空運業の2業種。
個別では、ソシオネクストが商いを膨らませ大幅高に買われたほか、レーザーテックも堅調。日経平均への寄与度が高い東京エレクトロン、ルネサスエレクトロニクス、ファストリなども上昇した。ソフトバンクグループが堅調、朝方に経済産業省が発表した6月の鉱工業生産指数を受け、自動車生産の回復が改めて意識され、トヨタ自動車やホンダが買い優勢。三菱商事、日立製作所なども高い。また、北越工業が値上がり率トップに買われた。
半面、アドバンテストが冴えず、キーエンスが軟調。SMC、ファナックは大幅安に売られた。日本M&Aセンターホールディングスが急落したほか、アンリツの下げが目立った。
