5日ぶり反落91ドル安、雇用悪化を懸念

4日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比91ドル90セント安の4万2427ドル74セントで終えた。
 
高い関税率が米景気に悪影響を及ぼすとの懸念を強める経済指標の発表を受け、景気敏感株の一角を中心に売りが優勢になった。ダウ平均はこの日の安値で取引を終えた。米国と貿易相手との交渉が進むとの楽観も根強く、ダウ平均は高く推移する場面もあった。
 
米民間雇用調査会社ADPが発表した5月の全米雇用報告によると、非農業部門の民間就業者数が前月比3万7000人増と、市場予想(11万人増=ロイター通信調べ)を大幅に下回った。米サプライ管理協会(ISM)が公表した5月の米サービス業購買担当者景況指数(PMI)も予想に届かなかった。米政権の高関税政策を巡る不透明感が漂う中、労働市場や景気先行きに対する警戒感から金融株などが売られた。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した全米12地区の連銀景況報告(ベージュブック)では、経済活動がわずかに低下したとの内容が嫌気され、プラス圏で推移していたダウは引けにかけて売りが先行した。
 
市場では「貿易摩擦で幾分の緩和がみられても、企業が経済環境を巡る懸念を抱え続けていることを示した。貿易環境が明確になるまでは企業が投資を控える状況が続きそうだ」と受け止められた。6日に発表される5月の米雇用統計を見極めたい投資家も多く、主力株への積極的な買いが手控えられた面もあった。
 
米連邦準備理事会(FRB)が4日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、前回の報告から経済活動は「わずかに減速した」と総括。経済を巡る不確実性の高まりを背景に、見通しは「わずかに悲観的」だとまとめた。米景気が減速するとみられるなか、企業業績の先行き不透明感は相場の重荷となった。
 
米国は貿易相手に対して4日までに最善の提案を示すよう求めており、通商協議が進みやすくなるとの期待は引き続き投資家心理を支えた。欧州連合(EU)の通商担当閣僚にあたるシェフチョビッチ欧州委員と4日に会談した米通商代表部(USTR)のグリア代表は「交渉は迅速に前進している」との見方を示した。週内には米中首脳が電話協議するとみられており、両国の貿易摩擦の悪化懸念を和らげている。
 
個別銘柄ではシェブロンやスリーエム(3M)、ゴールドマン・サックスが売られた。トラベラーズやアムジェンなどディフェンシブ株の一角も安い。一方、アマゾン・ドット・コムやエヌビディアなどハイテクや半導体株には買いが優勢だった。メルクやシャーウィン・ウィリアムズも買われた。
 
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前日比61.531ポイント(0.31%)高の1万9460.489(速報値)と、2月下旬以来の高値で終えた。メタプラットフォームズやアルファベット、ブロードコムが買われた。
 
半面、サイバーセキュリティーのクラウドストライク・ホールディングスは6%近く下げた。前日夕に2025年2〜4月期決算とあわせて発表した5〜7月期の売上高見通しが市場予想を下回った。5月の欧州での販売台数の落ち込みが嫌気されたテスラも売られた。
 
S&P500種株価指数は小幅に3日続伸した。前日比0.44ポイント高の5970.81(速報値)で終え、2月下旬以来の高値となった。

 


【シカゴ日本株先物概況】

 
4日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比180円安の3万7580円で終えた。この日は米景気懸念で米ダウ工業株30種平均が下げたこともあり、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
37580 ( -200 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て) 37590 ( -190 )
 
( )は大阪取引所終値比
 
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

4日の英FTSE100種総合株価指数は続伸した。前日比14.27ポイント(0.16%)高の8801.29と、最高値をつけた3月上旬以来3カ月ぶりの高値で終えた。4日発表された5月の英サービス業購買担当者景気指数(PMI)改定値が速報値から上方修正された。4日のアジアの主要株式相場が上昇したことも支えに、投資家心理が上向いた。
 
英アントファガスタやアングロ・アメリカンなど資源の関連銘柄が上昇し、指数を押し上げた。蒸留酒大手の英ディアジオが上げたほか、製薬の英アストラゼネカといったヘルスケア関連に買いが優勢だった。他方、エネルギーが下落し、指数の上値を抑えた。
 
FTSEの構成銘柄では、防衛大手バブコック・インターナショナル・グループが4.31%高、ゲーム大手ゲームズ・ワークショップが3.44%高、産銅大手アントファガスタが3.15%高と相場をけん引。一方、流通大手マークス&スペンサーは2.11%安、石油大手BPは1.87%安、大衆医薬品のヘイリオンは1.51%安と下げた。
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数

4日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比184.86ポイント(0.76%)高の2万4276.48で終えた。5月27日以来、約1週間ぶりに最高値を更新した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などの報道をきっかけに、同国のメルツ政権下で法人向けの税優遇措置や投資促進といった景気回復へ向けた施策について議論が進むとの期待が広がった。
 
4日のアジア市場における主要株式相場の上昇も投資家心理を支えた。
 
個別では、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが4.21%高、航空機大手エアバスが2.32%高、郵便・物流大手ドイツポストが1.97%高と上昇。半面、ドイツ銀行は1.66%安、通販大手ザランドは1.03%安、スポーツ用品大手アディダスは1.02%安で取引を終えた。
 

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は続伸し、前日比0.52%高で終えた。スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスが大幅高。酒類大手ペルノ・リカールや消費関連の銘柄が買われた。他方、仏トタルエナジーズや銀行株が下げた。

 

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