5日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比546ドル64セント(1.7%)高の3万3674ドル38セントで終えた。
前日にかけて急落した米地域銀行株の一角が上昇し、投資家のリスク回避姿勢が和らいだ。
4日夕にスマートフォンのアップルが前日の引け後に発表した2023年1~3月期決算は、2四半期連続の減収減益だったものの、売上高や1株当たり利益はいずれも市場予想を上回った。主力のiPhone(アイフォーン)が健闘し、サービス収入も堅調だった。増配や追加の自社株買いなど株主還元も好感された。
この日は5%近く急伸し、市場全体を主導した。
米労働省が5日公表した4月の雇用統計も、失業率の低下や賃金の上昇が明らかになったことで、相場を支援した。「労働市場の強さが示され、景気減速への懸念が後退した」という。
パックウエスト・バンコープが8割、ウエスタン・アライアンス・バンコーポレーションが5割上げるなど、足元で株価が暴落していた地銀株が軒並み急反発した。4日にロイター通信が「米金融当局が銀行株の市場操作の可能性を注視している」と報じ、米証券取引委員会(SEC)による空売り規制の検討や導入が意識された。ヘッジファンドなどが週末を前に地銀株の売り持ち高を手じまったとの指摘もあった。
JPモルガンは5日、ウエスタン・アライアンスとコメリカ、ザイオンズ・バンコーポレーションの3行の投資判断を「買い」に引き上げた。預金残高が安定しているなか、預金保護を巡る制度変更や株取引に関する規制強化の可能性もあるとして株価の戻りを予想した。
5日発表の4月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比25万3000人増と市場予想(18万人増)を上回ったが、過去分は下方修正された。株式市場では「雇用の伸びが続く一方で、労働需給の逼迫は緩和しつつある」(Bライリーのアート・ホーガン氏)と好意的な受け止めが目立った。
ダウ平均は一時620ドル上げた。前日までの4日間で970ドル下げていた。一部銘柄の値ごろ感も意識され、映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連株が上げた。原油相場の上昇を受け、石油のシェブロンも買われた。
ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反発した。前日比269.015ポイント(2.2%)高の1万2235.413で終えた。電気自動車のテスラやエヌビディアなど半導体株の上げが目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比475円高の2万9100円で引けた。堅調なアップルの決算や4月の米雇用統計を受け、5営業日ぶりに反発した。米株式相場が大幅に上昇し、日経平均先物にも買いが及んだ。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29100 ( -30 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29115 ( -15 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
5日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ75.74ポイント(0.98%)高の7778.38で終えた。米景気悪化への過度な懸念が後退し、原油需要に対する警戒感が薄らいだ。原油先物相場が大幅高となっており、エネルギーセクターに買いが入った。5日の米株高で買い安心感が広がるなか、銀行セクターも買われた。
個別では、産銅大手アントファガスタが3.5%高で上昇率トップ。金融大手バークレイズが3.4%高、石油大手BPが3.3%高、鉱業大手アングロ・アメリカンが2.9%高で続いた。一方、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは1.9%安、産金大手エンデバー・マイニングは1.7%安、給食サービス大手コンパス・グループは1.5%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
5日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ226.78ポイント(1.44%)高の1万5961.02と、2022年1月中旬以来約1年4カ月ぶり高値で取引を終えた。スポーツ用品大手のアディダスが前日比9%近く上昇し、指数をけん引した。5日発表の2023年1~3月期決算で、営業損益が市場予想に反して黒字となり好感した買いが入った。5日の米株高も投資家心理を明るくした。コメルツ銀行、ドイツ銀行の上げも目立った。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.26%高だった。
原油価格の上昇を受けてエネルギー株を中心に買いが入った。
