9日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比431ドル63セント(1.02%)高の4万2512ドル00セントで終え、3営業日ぶりに最高値を更新した。米景気の先行きに対する警戒が薄れており、幅広い銘柄に買いが入った。原油先物相場の上昇一服も追い風となり、ダウ平均は次第に上げ幅を広げた。
堅調な雇用統計などを受けて、米経済が成長を維持しながらインフレも落ち着く「ソフトランディング(軟着陸)」を達成するとの期待感が広がっている。米原油先物相場の上昇一服も好感された。市場関係者は10日の9月の米消費者物価指数(CPI)発表を待っているほか、ハリケーン「ミルトン」の上陸を警戒している。
この日発表された9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、大多数の参加者が0.5%の大幅利下げを支持したものの、何人かの参加者が0.25%利下げを支持していたことが明らかになった。
市場では、「米国株の先高観が意識され、買い遅れないように投資家が持ち高を増やしている」との指摘があった。
9日の米原油先物相場は続落した。中東情勢の深刻化に伴う市場心理の悪化やインフレ圧力の高まりへの懸念がやや薄れ、株式相場を押し上げた。米連邦準備理事会(FRB)は9日午後、9月17〜18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。同会合では0.5%の利下げを決めたが、数人の参加者が0.25%の利下げが望ましいとの考えを示していたことがわかった。ただ、議事要旨の公表後に株式相場に目立った反応はみられなかった。
米株相場は高値圏にあり、持ち高調整や利益確定の売りが出やすく、ダウ平均は取引開始直後に下落する場面があった。米長期金利の上昇も金利と比べた株式の相対的な割高感につながった。
他のダウ平均の構成銘柄では、IBMやナイキが上昇した。ゴールドマン・サックスも高かった。半面、ボーイングの下げが目立った。従業員のストライキの長期化に加え、債務格付けの引き下げ懸念が重荷となった。セールスフォースも売られた。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比108.701ポイント(0.59%)高の1万8291.617で終えた。ネットフリックスなどに買いが入った。半面、アルファベットが下落した。傘下のグーグルの検索サービスの独占を解消するために、米司法省が8日に会社分割などを含めた措置の枠組み案を連邦裁判所に提出したことが売りを誘った。
S&P500種株価指数は続伸した。前日比40.91ポイント(0.71%)高の5792.04で終え、9月30日以来の最高値更新となった。
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比290円高の3万9665円で終えたこの日は米景気に対する楽観が続く中でNYダウ工業株30種平均が最高値を更新するなど米株式相場が上昇した。日経平均株価も高く終え、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39665 ( +375 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39790 ( +500 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
9日のFTSE100種総合株価指数は反発し、前日比53.13ポイント(0.64%)高の8243.74で終えた。市場関係者の関心が英国時間9日夕に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(9月開催分)に向かうなか、米景気懸念が薄れていることを背景に9日の米株式相場が上昇すると、英株式市場でも主力株を中心に幅広い業種・銘柄に買いが広がった。
英HSBCホールディングスなどの銀行株や、英建機・産業機器レンタルのアシュテッド・グループ、防衛のBAEシステムズといった資本財関連の銘柄が買われた。そのほか医薬品や飲食料品・たばこなど、住宅建設を除く幅広い業種に買いが入り、FTSE100種指数を構成する100銘柄のうち90銘柄が上昇した。
FTSEの構成銘柄では、包装資材大手モンディが4.03%高、エネルギー小売り大手セントリカが3.31%高、流通大手マークス&スペンサーが2.96%高と相場をけん引。一方、住宅株は売られ、ビストリー・グループは1.97%安、パーシモンは0.56%安、テイラー・ウィンペイは0.47%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
9日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前日比188.46ポイント(0.98%)高の1万9254.93で終えた。9日の米株式市場で主要な株価指数が上昇し、投資家心理を支えた。中国当局が12日に財政政策関連で記者会見を開くと伝わり、中国での追加政策への期待をつないだ面もあった。
個別では、収益改善の見通しを示した自動車部品大手コンチネンタルが7.23%高と急伸。セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが2.61%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが2.44%高で続いた。半面、製薬大手バイエルは過去に買収した米モンサントがかつて手掛けていた化学品を巡る訴訟で、米ワシントン州の最高裁判所が再審理する方針を示したと伝わったのがきっかけとなり6.79%安と大きく売られ、防衛大手ラインメタルと香料大手シムライズも0.60%安、0.33%安と小安く引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、前日比0.51%高で終えた。仏ルノーなど自動車や、不動産投資信託(REIT)が買われた半面、タイヤ大手のミシュランや石油大手トタルエナジーズが下落した。