10日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発した。前日比429ドル39セント(1.09%)高の3万9721ドル36セントと、5月下旬以来の高値で終えた。
翌日に6月の米消費者物価指数(CPI)発表を控え、序盤は様子見姿勢が漂った。一方、パウエル氏が下院金融サービス委員会で、過熱していた労働市場が相当冷え込んでいると言及。9月に利下げに踏み切るとの観測が維持され、ダウの上げ幅が拡大した。
米半導体大手エヌビディアは2.7%高。半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が公表した6月の売上高が堅調だったことを受け、関連銘柄に買いが入った。投資家が重視するS&P500種株価指数は初めて5600の大台に到達し、最高値を更新して取引を終えた。
ダウ平均は午前に小幅に下げる場面があったが、午後に上げ幅を広げた。パウエル議長は10日の議会証言で「労働市場の軟化がみられる」などと語った。前日の米上院での証言に続き、利下げ時期について明言を避けたものの、市場では「FRBによる利下げが近づいているとの安心感が株式相場を支えている」との指摘があった。
個別では、エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなど半導体株の上昇が目立った。半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が10日発表した6月の売上高は前年同月比32.9%増だった。4〜6月期の売上高は市場予想を上回り、人工知能(AI)を追い風とした半導体需要の強さが改めて意識された。ハイテク株がけん引する株高が続く中、株高に乗り遅れないための買いが入っているとの見方もあった。
ダウ平均の構成銘柄では、ホーム・デポやトラベラーズ、スリーエムが上昇した。アナリストが目標株価を引き上げたアップルも高かった。一方、アナリストが投資判断を引き下げたビザが下落。ウォルト・ディズニーも売られた。
ナスダック総合株価指数は7日続伸した。前日比218.157ポイント(1.18%)高の1万8647.448で終え、7日連続で最高値を更新した。半導体株のほか、メタプラットフォームズやアルファベットが上昇した。テスラは11日続伸した。
S&P500種株価指数も7日続伸した。前日比56.93ポイント(1.02%)高の5633.91と連日で最高値を更新し、初めて5600台に乗せた。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比955円高の4万2470円で終えた。この日はナスダック総合株価指数が最高値水準となるなど米株式相場が上昇したほか、日経平均株価も連日で最高値を更新しており、シカゴ市場の先物には買いが活発となった。
NYダウ平均は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言が金融緩和に前向きだと受け止められたことから買いが入り、3営業日ぶりに反発した。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8193.51(+53.70)
10日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、前日比53.70ポイント(0.65%)高の8193.51で終えた。前日まで続落していた反動から、目先の自律反発を見込んだ買いが入った。フランスやドイツの株式相場が堅調に推移したほか、10日の米株式相場が上げ幅を広げる場面があるのも投資家心理を支えた。
一部金融機関が目標株価を引き上げたと伝わった製薬の英アストラゼネカや、日用品のユニリーバなど主力株に買いが入った。英航空機エンジン大手のロールス・ロイス・ホールディングスといった資本財関連や公益、保険株に買いが優勢だった。他方、ソフトウエア開発のセージ・グループ株は下げた。
内需関連企業を多く含む中型株指数のFTSE250種株価指数は前日比1.36%上昇し2022年4月以来、約2年3カ月ぶりの高値で終えた。
FTSEの構成銘柄では、産金大手エンデバー・マイニングが3.86%高、同業フレスニロが3.84%高、賭け屋大手エンテインが3.16%高と上げを主導。一方、会計ソフト大手セージは2.04%安、広告会社WPPは1.86%安、住宅大手バラット・デベロップメンツは1.24%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 18407.22(+171.03)
10日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前日比171.03ポイント(0.93%)高の1万8407.22で終えた。前日までの続落で相場水準を切り下げていた反動が出た。前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受けた米利下げ期待も、投資家心理を支えた。
個別では、不動産大手ボノビアが4.11%高、高級車メーカーのポルシェが3.94%高、製薬大手バイエルが3.04%高と買われた半面、化学大手BASFは1.20%安、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズは0.92%安、素材化学大手コベストロは0.87%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7573.55(+64.89)
フランスの株価指数CAC40は4営業日ぶりに反発し、同0.86%高で終えた。前日まで続落していたLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)など一部の高級ブランド株が反発し、指数を支えた。銀行株も買われた。
