21日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前日比41円30銭(0.11%)高の3万8719円34銭だった。
朝安後にプラス圏に浮上した。前日の米株式市場は、NYダウは450ドル安と3日ぶりに反落。ウォルマート<WMT>の下落などが響いた。為替が一時149円台前半まで円高が進行したことも警戒され、日経平均株価は下落してスタートした。日経平均株価は一時200円を超す下落となったが、21日の衆院予算委員会に出席した日銀の植田和男総裁が衆院予算委員会で「長期金利が急激に上昇する例外的な場合は機動的に国債買い入れの増額をする」と発言すると、為替は150円台へ円安に振れ日経平均株価もプラス圏に上昇した。ただ、上値は重く買い一巡後は再び売りに押され、小幅高で前場の取引を終えた。
20日のNYダウ工業株30種平均など主要3指数が下落した流れを受け、朝方は売りが優勢だった。国内の長期金利が2009年11月以来15年3カ月ぶりの高水準をつける場面もあり、海外投機筋などによる株価指数先物への売りもかさんでファストリやアドテストといった値がさ株の一角が下落した。下げ幅は一時200円を超えた。
日銀の植田和男総裁の発言をきっかけに相場つきが変わった。植田氏は衆院予算委員会で、このところの金利上昇を巡って「急激に上昇するような例外的な状況では、機動的に国債買い入れの増額などをする」などと述べた。東京外国為替市場では円相場が1ドル=150円台前半に下げ、寄り付き時点と比べて円安が進行した。発言後の国内金利低下と円下落が投資家心理を支え、日経平均の上げ幅は100円を超える場面があった。
円高ドル安の是正となれば、後場の日経平均も伸びしろはありそうだが、朝方に発表された1月消費者物価指数が前年同月比3.2%上昇と3カ月連続で伸び率は拡大。日銀による追加利上げ観測はより強まっていることから、為替の円高ドル安是正は難しいとの見方もある。後場の東京市場は為替市場を睨んだ神経質な展開となりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは0.37ポイント(0.01%)高の2734.97だった。JPXプライム150指数は反発し、1.20ポイント(0.10%)高の1197.71で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆558億円、売買高は8億7170万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は538。値上がりは1050、横ばいは52だった。
業種別は、空運、ゴム製品、医薬品、保険、化学などが上昇した一方、非鉄金属、パルプ・紙、精密機器、機械、銀行などが下落した。
個別銘柄では、証券会社によるポジティブなレポートが材料視されてディー・エヌ・エーが大幅高となったほか、旧村上ファンド系の大量保有を材料に京成電鉄も上昇。
東京エレクトロンやレーザーテックは高く、資生堂、花王、ソニーグループが値を上げた。
また、しずおかFG、コンコルディア、千葉銀行など地銀株も買われた。このほか、良品計画、大日本印刷、ヤマハ発などが上昇した。
一方、中期経営計画を発表したスズキはテスラがインド市場に進出報道を受けて下落したほか、IHI、川崎重工業、三菱重工業など防衛関連の一角が下落。
公正取引委員会から下請け法違反に当たると勧告を受けた荏原製作所も売られた。また、古河電工、フジクラ、住友電工など電線株も弱い。このほか、トヨタ自動車が値を下げ、任天堂、日立製作所、ディスコ、カナデビア、アドバンテストなどが売られた。
