4日続落345ドル安、地銀破綻でリスク回避

10日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比345ドル22セント(1.1%)安の3万1909ドル64セントで終えた。週間の下げ幅は1481ドルと、2022年6月中旬以来の大きさとなった。米中堅金融SVBファイナンシャル・グループの傘下銀行が10日、経営破綻した。金融システム全体に波及することへの警戒感から、金融株を中心に売りが膨らんだ。

朝方発表された2月の米雇用統計は強弱入り交じる内容だった。このため、ダウ平均は序盤は小幅安で推移し、その後一時プラス圏に浮上する場面もあった。雇用統計が「米連邦準備制度理事会(FRB)にとって明るい材料を含んでいる」ことから、投資家の間にFRBの利上げペースが鈍化することへの期待が広がった。このところ大幅下落が続いた反動で、買い戻しも入った。
雇用統計では、景気動向を反映する非農業部門就業者数が前月から31万1000人増加。市場予想の20万5000人増を上回った。その半面、失業率や労働参加率は上昇し、平均時給の伸びは小幅にとどまった。
ただ、IT企業などを主要顧客に持つシリコンバレーバンクの経営破綻が伝わると、市場はリスク回避ムードに転換。ダウは再びマイナス圏に沈み、一時約470ドル安まで下げた。

米連邦預金保険公社(FDIC)は10日、SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンクが経営破綻し事業を停止したと発表した。市場では「他の銀行でも経営破綻が起きかねないとの不安が広がっている」との声があり、銀行株が全般に下げた。リスク回避姿勢を強めた投資家が資金を株式から相対的に安全とされる米国債に移した面もあった。

建機のキャタピラーやホームセンターのホーム・デポ、映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど景気敏感株と消費関連株の売りが目立った。一方、バイオ製薬のアムジェンや医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンなどのディフェンシブ株の一角が買われた。

ナスダック総合株価指数は続落した。前日比199.467ポイント(1.8%)安の1万1138.888で終えた。半導体のエヌビディアや検索サイトのアルファベットなどが下げた。

 


【シカゴ日本株先物概況】

10日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比475円安の2万7525円で引けた。
NYダウは米地銀中堅金融のSVBファイナンシャルグループの傘下銀行の経営破綻を受けて投資家の間でリスク回避姿勢が広がり、4日続落した。
日経平均先物に売りが波及した。円高・ドル安が進んだことも重荷となった。

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27525 ( -335 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27595 ( -265 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

10日のFTSE100種総合株価指数は大幅に続落した。前日に比べ131.63ポイント(1.67%)安の7748.35で取引を終えた。米国の中堅金融の経営を巡って、金融不安への懸念が高まるなか、銀行や保険など金融株全般に売りが出た。

構成銘柄の9割余りが下落。
個別では、オンライン食品販売オカド・グループが6.5%安と下落率トップで、投資会社ハーグリーブス・ランズダウンが5.6%安、自動車保険のアドミラル・グループが5.1%安で続いた。金融ではHSBCホールディングスが4.6%安、スタンダード・チャータードが4.5%安、バークレイズが3.7%安だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

10日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落した。前日に比べ205.24ポイント(1.31%)安の1万5427.97で終えた。米国の中堅金融の経営を巡る金融不安への懸念が高まり、投資家心理が悪化した。ドイツ銀行が7%強安、コメルツ銀行が2.6%安となるなど、銀行株に売りが出た。
個別では、ドイツ銀行が7.4%安と最も大きく売られた。商用車大手ダイムラー・トラックは4.5%安、自動車部品大手コンチネンタルは3.5%安、不動産大手ボノビアも3.3%安となった。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.30%安(同1.73%安)だった。米シリコンバレー銀行の預金流出問題が金融システム全体に波及することへの懸念が広がり、銀行株を中心に売りが膨らんだ。

 

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