4日続伸564ドル高、米利上げ見送り観測で

2日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比564ドル50セント(1.69%)高の3万3839ドル08セントで終えた。
 
FRBのパウエル議長は1日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後、賃金インフレが期待に沿って緩やかになっているとの認識を示した。さらに、2日に発表された新規失業保険の申請件数が2週連続で増加。労働市場が軟化に向かっている兆しがうかがえる。市場では「来年半ばには利下げ局面に転換する」(日系証券)との見方が浮上し、IT関連など幅広い銘柄に買いが入った。
1日の上げ幅としては6月上旬以来、5カ月ぶりの大きさとなった。
 
2日発表の2023年7~9月期の米労働生産性指数(速報値)で企業の賃金負担を示す単位労働コストは前期比年率で0.8%低下し、3四半期ぶりの低下となった。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.7%上昇)に反してマイナスとなり、賃金の上昇圧力が和らいだと受け止められた。同日発表の週間の新規失業保険申請件数は21万7000件と市場予想(21万4000件)以上だったうえ、前回分も上方修正した。労働需給の逼迫が和らいでいるとの見方が株式相場の支えとなった。
 
市場では「今の利上げサイクルが終了したという保証はないものの、今のところは選択肢から外れていることを好感した買いが入っている」との声が聞かれた。
 
米債券市場で長期金利が4.6%台前半まで低下する場面があった。前日に米財務省が公表した23年11月~24年1月の国債発行計画で発行の増加規模が市場予想を下回ったことも、賃金インフレの鈍化を示す指標と合わせて金利低下につながった。
 
個別では、ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスや建機のキャタピラー、ホームセンターのホーム・デポなど幅広い銘柄が買われた。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルも高かった。一方、保険のトラベラーズは売られた。
 
ナスダック総合株価指数は5日続伸した。前日比232.722ポイント(1.78%)高の1万3294.191で終え、1日の上げ幅は8月下旬以来の大きさとなった。電気自動車のテスラや画像処理半導体のエヌビディアの上げが目立った。
 
 

【シカゴ日本株先物概況】

 2日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比455円高の3万2310円で終えた。  2日発表の米経済指標が賃金インフレの鈍化を示し、米金融引き締めの長期化観測が和らいだ。米長期金利の低下を受け、株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いが広がった。日経平均先物にも買いが波及した。    

シカゴ日経225先物12月限 (円建て) 
32310 ( +430 )  

シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て) 
32330 ( +450 ) 

  ( )は大阪取引所終値比 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

2日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ104.10ポイント(1.41%)高の7446.53で終えた。四半期決算とあわせて自社株買いの規模拡大を発表した石油大手の英シェル株への買いがけん引する形でエネルギー株が上昇した。銀行株と素材株も上昇し、指数を押し上げた。

シェル株は前日比4%高で終えた。2024年3月期通期の利益見通しについて、レンジの下限を引き上げた食品スーパーの英セインズベリー株が買われるなど、食品小売り株の一角も買われた。

英イングランド銀行(中央銀行)は2日、政策金利を5.25%に据え置くと発表した。1日の米連邦準備理事会(FRB)に続く動きとなる。中銀の発表を受けて欧米の長期金利が水準を切り下げたのも、株式相場の支えとなった。

FTSEの構成銘柄では、オンライン食品販売大手オカド・グループは7.00%高と上昇率トップ。BTが5.72%高、学生向け住宅の開発・運営を手掛けるユナイト・グループが5.66%高と続いた。賭け屋大手エンテインが5.91%安、製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズが4.40%安だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

2日のドイツ株価指数(DAX)は4日続伸し、前日比220.33ポイント(1.47%)高の1万5143.60で終えた。1日の米連邦準備理事会(FRB)に続き、英イングランド銀行(中央銀行)も2日に2会合連続となる政策金利の据え置きを決めた。欧米の主要中銀が利上げを終えた可能性が意識されて米国や英・独の長期金利が低下基調となっており、株式の相対的な割高感が薄れていることが株価の支えとなった。

金利動向の影響を受けやすい不動産株やIT(情報技術)株をはじめ、幅広い業種で買いが入った。40ある構成銘柄のうち32銘柄が上昇した。1日夕に2023年12月期通期の売上高と流通総額(DMV)の見通しを引き下げた独ファッション通販大手のザランドは逆行安となった。

個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジー(6.40%高)やヘルスケアのフレゼニウス(5.84%高)、高級車メーカーポルシェ(5.42%高)が買われた半面、通販大手ザランド(6.29%安)やセメント大手ハイデルベルク・マテリアルズ(2.16%安)が売られた。

 

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.85%高だった。不動産に加えハイテク関連の上昇が寄与した。

 

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