12日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比17ドル73セント(0.05%)安の3万4645ドル99セントで終えた。原油先物相場の上昇を受け、インフレ懸念が強まった。金利上昇への警戒からハイテク株を中心に売りが広がった。
石油の需給逼迫(ひっぱく)を背景に、原油先物相場は1バレル=88ドル台と、昨年11月中旬以来10カ月ぶりの高値水準となった。8月の米消費者物価指数(CPI)の発表を13日に控えて様子見姿勢が広がる中、原油高に伴い米金融引き締めが長引くとの観測が浮上し、マイクロソフトやアップルなどハイテク株に売りが入り、相場を押し下げた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、IT(情報技術)のオラクルが大幅安となった。前日夕に示した2023年9~11月期の業績見通しが市場予想に届かなかった。他のハイテク株に売りが及び、ダウ平均の下げ幅は一時100ドルあまりに達した。ダウ平均の構成銘柄では、ソフトウエアのマイクロソフトと顧客情報管理のセールスフォースが下落した。
スマートフォンのアップルも安かった。中国での販売落ち込みへの警戒が一段と高まる中で取引時間中に新製品の発表会が始まると下げ幅を広げる場面があった。市場では「製品の買い替えを促すような目新しい話題はなかった」との受け止めがあった。
半面、金融株や一部のディフェンシブ株が買われ、ダウ平均は190ドル近く上げる場面があった。金融各社のトップらが投資家向けイベントで先行きに前向きな発言をしたことで、買いが入りやすかった。金融のJPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスが上昇した。原油高で石油のシェブロンも高かった。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日比144.279ポイント(1.03%)安の1万3773.615で終えた。電気自動車のテスラやネット検索のアルファベットが売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比150円高の3万2585円で終えた。
NYダウは、原油相場上昇が重荷となってハイテク株が売られ、4営業日ぶりに反落した。
同日の米株式相場は下落したものの、東京株式市場で日経平均株価が上昇したためシカゴ市場でも先物買いが優勢となった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7527.53(+30.66)
12日のFTSE100種総合株価指数は4日続伸した。前日に比べ30.66ポイント(0.40%)高の7527.53で取引を終えた。原油先物相場の上昇で、エネルギーセクターが買われた。外国為替市場で英ポンドの対ドル相場の下落基調が続いている。ポンド安による業績押し上げを期待し、売上高に占める海外比率の高い銘柄が多い医薬品や飲食料品・たばこセクターも上昇した。
FTSE100の構成銘柄では、食品・小売り大手アソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズは5.35%高と上昇幅トップ。通信大手のエアテル・アフリカとボーダフォンがそれぞれ3.42%高、2.99%高と続いた。
一方、段ボール大手スマーフィット・カッパは9.78%の大幅安、産銅大手アントファガスタが4.01%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15715.53(-85.46)
12日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反落した。前日に比べ85.46ポイント(0.54%)安の1万5715.53で取引を終えた。13日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)や14日の欧州中央銀行(ECB)理事会を前に、いったん持ち高を減らす目的の売りが出た。欧米の金融引き締めによるユーロ圏景気の悪化懸念は強く、資本財や化学などの景気敏感セクターが売られた。
個別では、航空エンジン大手MTUアエロ・エンジンズが6.89%安、製薬大手サルトリアスが3.26%安、医療大手メルクは3.03%安と売られた一方、コメルツ銀行は1.96%高、防衛大手ラインメタルが1.27%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7252.88(-25.39)
フランスCAC40種指数は0.35%安だった。
欧州株はドル高による卑金属価格の下落を受けて下落。総じて方向感のない動きが続いた。
