2月29日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比47ドル37セント(0.12%)高の3万8996ドル39セントで終えた。
この日発表の1月の米個人消費支出(PCE)物価指数はおおむね市場予想通りで、「インフレの鈍化傾向が示された」(日系証券)。買い安心感が広がり、半導体など人工知能(AI)関連の事業を手掛ける企業に積極的な買いが入った。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比144.184ポイント(0.90%)高の1万6091.922で終え、2021年11月以来となる過去最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も反発し、前日比26.51ポイント(0.52%)高の5096.27とほぼ1週間ぶりに最高値を更新した。
1月のPCE物価指数はエネルギーと食品を除くコアが前年同月比2.8%上昇した。伸び率は前の月(2.9%)から小幅に縮小。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想と同じだった。前月比の上昇率も0.4%と市場予想に並んだ。1月の消費者物価指数(CPI)など物価指標が予想から上振れしていたため、過度なインフレ懸念が和らいだ。
市場では「インフレが再加速し米連邦準備理事会(FRB)が利下げを大幅に先送りしかねないと懸念していた投資家に安心感を与えた」との見方があった。米長期金利は低下し、相対的な割高感が薄れるとみてハイテク株に買いが入りやすくなった。
個別銘柄では、28日夕に四半期決算を発表した顧客情報管理のセールスフォースが3%高となった。半導体のインテルやネット通販のアマゾン・ドット・コム、ソフトウエアのマイクロソフトといったハイテク関連の上昇が目立った。化学のダウや建機のキャタピラーも買われた。
ダウ平均は100ドル超下げる場面もあった。前日に上げが目立った航空機のボーイングや金融のゴールドマン・サックスが安い。米司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで調査を始めたと今週伝わった医療保険のユナイテッドヘルス・グループに売りが続いたことも、ダウ平均の重荷となった。
ダウ平均は2月月間では846ドル(2.21%)上げた。4カ月連続で上昇し、21年2〜5月以来の連続月間上昇記録となった。
ナスダック指数は月間では6.11%高、S&P500種は月間で5.17%高となり、ともに4カ月連続で上昇した。上昇率はそれぞれ23年11月以来の大きさとなった。
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比255円高の3万9300円で終えた。
NYダウ平均は、インフレに対する懸念が和らぐ中を半導体銘柄が主導し、4営業日ぶりに反発した。同日に米株式相場が上昇し、S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数は最高値を更新した。投資家心理が強気に傾き、日経平均先物にも買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
39300 ( +40 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
39305 ( +45 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7630.02(+5.04)
29日のFTSE100種総合株価指数は小幅ながら4営業日ぶりに反発し、前日比5.04ポイント(0.06%)高の7630.02で終えた。
29日発表の1月の米個人消費支出(PCE)物価指数の伸びが市場予想と同程度の水準にとどまったのを材料に、米国で利下げ開始時期が遅れるとの過度な警戒感が薄れ、投資家心理を支えた。
FTSEの構成銘柄では、システムキッチンメーカーのハウデン・ジョイナリーが7.04%高と上昇率トップ。2023年12月通期の決算とあわせて新規の自社株買いなど株主還元を強化する方針を示した大衆医薬品のヘイリオンが5.57%高、オンライン食品販売大手オカド・グループは4.2%高と続いた。
一方、ホテル大手ウィットブレッドが4.57%安、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は3.63%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 17678.19(+76.97)
29日のドイツ株価指数(DAX)は7日続伸し、終値は前日比76.97ポイント(0.43%)高の1万7678.19と最高値を更新した。7日続伸は、2023年11月下旬から12月上旬にかけて7日続伸して以来となる。
29日発表の1月の米個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率が市場予想と同程度にとどまった。同日発表の2月のドイツの消費者物価指数(CPI)速報値がインフレの鈍化基調を示唆したのとあわせて、投資家心理の支えとなった。
独アリアンツなど保険株が上昇した。化学大手の独コベストロなど素材株にも買いが入った。他方、2023年12月通期決算で税引き後利益が前の期比で減少した化粧品メーカーのバイヤスドルフ株には売りが膨らんだ。
個別では、保険大手アリアンツ(2.13%高)やエネルギー大手シーメンス・エナジー(1.97%高)、高級車メーカーのポルシェ(1.90%高)が買われた半面、化粧品大手バイヤスドルフ(3.41%安)や製薬大手バイエル(1.65%安)などが売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7927.43(-26.96)
フランスCAC40種指数は0.34%安だった。
