389ドル安、貿易交渉の不透明感

6日のNY7ダウ工業株30種平均は続落し、前日比389ドル83セント安の4万0829ドル00セントで終えた。トランプ米政権の関税政策に対する警戒から製薬株が下げた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を7日に控え、主力株には持ち高調整や利益確定目的の売りも出た。ダウ平均の下げ幅は400ドルを超える場面があった。
 
カナダのカーニー首相は同日、就任後初めてトランプ大統領と対面で会談した。友好ムードが演出された一方、トランプ氏はカナダへの関税見直しの可能性を問われた際、「ノー」と明言。市場では、関税協議の先行きについて「不透明感がかえって強まった」(日系証券)との懸念が浮上し、ダウの下げ幅が拡大した。

 トランプ氏が5日、輸入医薬品への追加関税を2週間以内に発表すると宣言したことも投資家心理を圧迫。メルクやアムジェンなど製薬株の下げも相場の足を引っ張った。朝方発表された3月の米貿易統計では、モノとサービスを合わせた貿易収支の赤字額が過去最大だったことも重荷となった。
 
ダウ平均の構成銘柄ではないが、ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズが12%安で終えた。5日夕に2025年1〜3月期決算を発表し、同時に25年12月期通期の収益見通しを上方修正した。一方、市場では株価に割高感があるとの指摘が目立ち、売りが膨らんだ。「注目度の高いパランティアの急落が投資家心理の重荷となった」との見方があった。
 
ダウ平均は下げ渋る場面があった。ベッセント米財務長官は6日、早ければ今週にも主要な貿易相手国の一部と貿易協定を発表する可能性があると述べた。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は同日、英国と米国が自動車と鉄鋼の対米輸出の一部に低関税枠を設けることなどを盛り込んだ協定の合意に近づいていると報じた。貿易交渉の進展期待は相場の支えとなった。
 
ダウ平均の構成銘柄では、メルクやアムジェンといった製薬株の下げが大きかった。ユナイテッドヘルス・グループとシャーウィン・ウィリアムズ、ハネウェル・インターナショナルも安かった。半面、ベライゾン・コミュニケーションズとマクドナルドが上昇した。
 
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比154.582ポイント(0.86%)安の1万7689.659(速報値)で終えた。テスラが下げた。欧州での販売減速が続いていると伝わり、売り材料になった。メタプラットフォームズも安かった。
 
 

【シカゴ日本株先物概況】

6日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比405円安の3万6750円で終えた。この日は東京市場が祝日で休場となるなかトランプ米政権の関税政策へ警戒感から米株式相場が下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
 

シカゴ日経225先物 (円建て)
36750 ( -60 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36820 ( +10 )
 
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

6日の英FTSE100種総合株価指数は小幅ながら16日続伸した。英国の3連休前にあたる2日に比べ1.07ポイント(0.01%)高の8597.42と4月2日以来、約1カ月ぶりの高値を更新した。16日続伸は、1984年に指数公表を始めて以降で最長となる。
 
貿易摩擦が英国を含む世界経済の逆風になるとの懸念は根強いものの、英イングランド銀行(中央銀行)が段階的に利下げを進めるとの観測が投資家心理を支えた。英中銀は8日に金融政策委員会の結果を発表する。市場では0.25%の利下げを決めるとの観測が優勢となっている。
 
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)に買いが集まったほか、英テスコをはじめスーパー大手に買いが優勢となるなど、業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄に買いが入った。英BPも上昇。英石油大手シェルがBP買収の可能性を検討していると、3日に米ブルームバーグ通信が伝えていた。一方で英シェルは下落した。英アングロ・アメリカンなど資源の一角に売りが出た。
 
FTSEの構成銘柄では、産金大手エンデバー・マイニングが5.23%高、同業フレスニロが4.73%高、流通大手セインズベリーが3.42%高と大きく買われた。一方、流通大手マークス&スペンサーは4.66%安、金融大手スタンダード・チャータードは3.69%安、鉱業大手アングロ・アメリカンは3.09%安となった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
 

6日のドイツ株価指数(DAX)は10営業日ぶりに反落し、前日比94.89ポイント安の2万3249.65で終えた。関税を巡る米国と貿易相手の交渉が進展するとの観測が後退し、投資家心理の重荷となった。株式相場がこのところ水準を切り上げていたため、利益確定の売りが出やすかった面もある。
 
ドイツの政局と財政政策を巡り先行き不透明感が改めて意識されたのも、相場の重荷だった。ドイツ連邦議会(下院)で6日実施された首相指名選挙では、中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首が首相に選出された。だがメルツ氏は、午前中の第1回投票では選出に必要な過半数票を集められず、異例となる第2回投票を経て首相に決まった。財政政策が進まないリスクが意識され、DAXは下げ幅を広げる場面があった。
 
個別では、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアが5.19%高と急伸し、自動車部品大手コンチネンタルが2.40%高、コメルツ銀行が1.19%高で続いた。半面、一部の金融機関が目標株価を引き下げた化粧品大手バイヤスドルフは4.14%安、6日に2025年1〜3月期決算を公表した通販大手ザランドは上昇して始まったものの次第に売りが増え3.35%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは2.46%安と売りが膨らんだ。

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は続落し、前日比0.40%安で終えた。欧州主要600社の株価指数であるストックス600は11営業日ぶりに反落した。

 

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