376円安と続落、米金融引き締めの長期化懸念

 
21日午前の日経平均株価は続落し、前引けは前日比376円06銭(1.14%)安の3万2647円72銭だった。
きょう前場はリスクオフの流れが強まり、日経平均株価は続急落となった。先物主導で下げ幅を広げ、前引け時点で安値引けとなっている。前日の米国株市場ではFOMC通過後にハイテク株中心に売られる展開となった。FRBによる金融引き締めが長期化することへの警戒感が買いを手控えさせており、東京市場でも投資家のセンチメントが冷やされている。米株価指数先物が軟調なほか、アジア株市場が総じて売られていることも見送りムードを助長した。
東京株式市場ではアドテストなど値がさの半導体関連株の下落が相場全体を押し下げた。
 
米連邦準備理事会(FRB)は20日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2会合ぶりに政策金利の据え置きを決めたが、年内の追加利上げや2024年以降の利下げペースの鈍化が強く意識される内容だった。市場では「想定以上に『タカ派』だった」との声が多く、米金融引き締めの長期化観測が株売りを促した。株価指数先物への断続的な売りも、日経平均の下げを加速させた。
 
東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=148円台半ばまで下落した。円安・ドル高の進行を受けて輸出関連株の一角などが買われ、日経平均は下げ渋る場面もあった。ただ、財務省による円買い介入への警戒感もくすぶり、円安を好感した株買いは限られた。
 
前日の高寄り後の失速で中間配当取りを目的とした買いの一巡が意識されていた景気敏感・バリュー(割安)株の一角で堅調さの継続が確認されている。米国で弱い経済データが確認され、長期金利が明確に低下に転じるまでは、バリュー株優位の展開が想定以上に長期化する可能性が高そうだ。
 
東証株価指数(TOPIX)は18.54ポイント安の2387.46と続落した。JPXプライム150指数は前引け時点で13.02ポイント(1.24%)安の1034.24だった。
 
 


前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9811億円、売買高は8億4131万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1121と、全体の約6割を占めた。値上がりは640、変わらずは74銘柄だった。
 
業種別株価指数(33業種)は精密機器、鉱業、電気機器、医薬品などが下落した。上昇は銀行業、電気・ガス業など。
 
個別では、米長期金利の上昇を背景にアドバンテスト、ルネサス、ソフトバンクG(SBG)、キーエンス、イビデン、村田製、ローム、東エレク、太陽誘電などのハイテクのほか、TDK、ソニーG、安川電が下落した。アンビス、MSOL、Appier、Sansanなどのグロース(成長)株が総じて大きく下落。原油市況の軟化を受けてINPEX、石油資源開発も安い。国内長期金利も上昇するなか三菱地所、住友不動産など不動産株も軟調。ファナック、HOYA、SMCなど値がさ株も下落。堅調な決算ながらも出尽くし感や見切り売りが優勢となったサツドラHD、ツルハHDは売られた。長谷工は外資証券の投資判断格下げが確認されている。
 
一方、ダイキンが高い、国内長期金利の上昇を追い風に三菱UFJ、三住トラストの銀行が大きく上昇し、MS&AD、東京海上の保険も堅調。日本高周波鋼業、愛知製鋼の鉄鋼、川崎汽船、商船三井の海運などバリュー(割安)株の一角も堅調。大和工業は投資判断の格上げも寄与して大幅高。ほか、積水ハウス、東レ、熊谷組の投資判断の格上げが確認されている。

 

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