9日午前の日経平均株価は続落し、前引けは前日比302円13銭安の3万9678円93銭だった。
きょう前場は売り優勢の地合いとなった。前日の米国株市場ではNYダウが3日ぶりに反発したものの、米長期金利の上昇を警戒してハイテク株の上値が重く、ナスダック総合株価指数は小幅ながら続落。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も安かったことで、東京株式市場でも半導体主力株が売りに押されるものが目立った。米国の対中規制強化に絡む報道も嫌気された。オプションSQ算出日をあすに控え、積極的に買い向かう動きもみられず、値下がり銘柄数が1100を超え、プライム市場全体の7割の銘柄が値を下げている。
バイデン米政権が、米エヌビディアなどの企業による人工知能(AI)チップ輸出の規制を強化する計画だと伝わり、収益への悪影響を警戒した売りで米通常取引終了後の時間外取引でエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイスが下落した。東京市場でも東エレクやレーザーテクなどの一部の半導体関連株に売りが波及した。
ただ、半導体関連株はこのところ連日で大幅に上昇しており、市場参加者の先高観は根強いようだ。アドテストは実質的な上場来高値を更新した。丸三証券の丸田知広エクイティ部長は「半導体関連の年初からの値動きが良いため、今年度内に日経平均が昨年7月に付けた最高値(4万2224円)を超える可能性はある」と話す。中長期的にも、機関投資家やヘッジファンドから半導体関連株の上昇に取り残されたくないという意識が働き、相場上昇につながりやすいとみていた。
今晩の米国市場はカーター元大統領の国葬のため休場となっていることから、後場の東京市場は商いが減少するだろう。明日、米雇用統計の発表も控えていることから、ポジション調整に関する売買がメインか。参加者減少で後場一段安への警戒感は低いが、40000円台回復も難しそうだ。日経平均は39700円水準でのもみ合いとなろう。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは21.30ポイント(0.77%)安の2748.70だった。JPXプライム150指数も続落し、10.17ポイント(0.83%)安の1215.64で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆966億円、売買高は9億1369万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1158。値上がりは431、横ばいは54だった。
業種別では、海運、輸送用機器、卸売、精密機器、鉱業などが下落した一方、その他製品、医薬品、食料品、繊維の4セクターのみ上昇した。
個別では、レーザーテックが大きく値を下げ、アドバンテストや東京エレクトロンも売りに押されたほか、川崎汽船、日本郵船、商船三井など海運株も弱い。キーエンスも下落した。また、三菱自動車、マツダ、日産自動車、日野自動車、ホンダなど自動車株も売り優勢となった。このほか、三井物産、ジェイテクト、オムロンなどが下落した。KLabが急落、フィックスターズの下げも目立つ。
一方、売買代金トップのディスコがしっかり、サンリオも大きく上値を伸ばした。長期金利上昇などを材料にふくおか、千葉銀行、しずおかFG、三菱UFJなど銀行株が買われたほか、前日売られたSOMPOホールディングス、野村などは反発。任天堂も上昇、アシックスが物色人気に。ネクステージが値上がり率トップに買われ、タムラ製作所が同2位に食い込む人気となった。ワールド、テイクアンドギヴ・ニーズなども大幅に株価水準を切り上げた。このほか、中外製薬、荏原製作所、TOPPANホールディングス、フジクラ、クレディセゾンなどが買われた。
