3日のNYダウ工業株30種平均は3日続落した。前日比430ドル97セント(1.28%)安の3万3002ドル38セントと、約4カ月ぶりの安値で終えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)高官がこの日、インフレ抑制に向け金利を現行の高い水準で維持するよう訴えたことや、米労働省が発表した雇用指標が市場予想を上回ったことで、利上げ局面が長引くとの警戒感が強まった。また原油高や、大幅賃上げを求める自動車労働者のストライキ拡大も、インフレを加速させるとの見方につながった。
長期金利は連日でおよそ16年ぶりの高水準を付けた。株式の相対的な割高感を意識した売りが膨らんだ。
1日の下げ幅としては、3月22日(530ドル)以来の大きさとなった。3日発表の8月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数が961万件と、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(890万件)を上回った。債券市場では長期金利が4.8%台に乗せる場面があった。
午後に入ると、次第に株売りが増え、ダウ平均の下げ幅は500ドルを超える場面があった。底堅い雇用指標を受け、「(6日発表の)9月の米雇用統計が労働市場の需給引き締まりを示し、金利高と株安が一段と進む可能性が意識された」との見方があった。
FRB高官は相次いで高い政策金利を維持する考えを示しており、長期金利が上昇しやすくなっている。3日にはクリーブランド連銀のメスター総裁が現在の経済状況が続けば、11月1日に結果を公表する次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げをする可能性に言及したと伝わった。アトランタ連銀のボスティック総裁は利上げに消極的ながらも、高い金利を長期にわたって維持すべきだとの見方を示した。
長期金利の上昇で株式の相対的な割高感が意識され、高PER(株価収益率)のハイテク株が下げた。ソフトウエアのマイクロソフト、顧客情報管理のセールスフォースが売られた。高金利の長期化が景気に悪影響を及ぼすとの懸念から、消費関連株や景気敏感株にも売りが出た。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスやホームセンターのホーム・デポ、建機のキャタピラーが下落した。
ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落した。前日比248.307ポイント(1.86%)安の1万3059.466と約4カ月ぶり安値で終えた。下落率は8月24日(1.87%)以来の大きさだった。主力銘柄が総じて売られ、半導体のエヌビディア、ネット通販のアマゾン・ドット・コム、電気自動車のテスラが下げた。
【シカゴ日本株先物概況】
3日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比860円安の3万750円で終えた。
米国で金融引き締めが長期化するとの観測を背景に長期金利が上昇したことを受け、3営業日続落した。
東京株式市場で日経平均株価が4カ月ぶり安値を付けたことも投資家心理を冷やし、先物は売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
30750 ( -450 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
30785 ( -415 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7470.16(-40.56)
3日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ40.56ポイント(0.54%)安の7470.16で引けた。米長期金利が高い水準での推移を続けており、引き続き投資家心理の重荷となった。資源商社のグレンコアや資源大手アングロ・アメリカンといった資源・素材関連が下げ、指数を下押しした。
FTSEの構成銘柄では、オンライン食品販売大手オカド・グループが4.40%安と最も大きく売られ、水道サービス会社ユナイテッド・ユーティリティーズ・グループが3.96%安、高級衣料のバーバリーが3.56%安で続いた。
一方、教育・メディア大手ピアソンは1.24%高、医療機器・精密部品大手スミスグループは1.06%高、品質検査会社インターテックは0.98%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15085.21(-162.00)
3日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比162.00ポイント(1.06%)安の1万5085.21で終えた。終値としては3月下旬以降、約半年ぶりの低水準となる。ドイツなどの国債利回りが上昇したのを受け、金利動向に敏感な公益事業や不動産関連の銘柄に売りが出た。個別銘柄では重電のシーメンス、再生可能エネルギー大手のRWEなどの下げが目立った。
個別では、通販大手ザランドが5.32%安、電力大手RWEが3.85%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.30%安と売られた半面、日用品大手ヘンケルは1.09%高、ハノーバー再保険は0.10%高、高級車メーカーのポルシェは0.07%高とプラス圏で引けた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6997.05(-71.11)
フランスCAC40種指数は1.01%安だった。
この日も米長期金利の高止まりが嫌気された。
