10日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比134ドル65セント(0.40%)高の3万3739ドル30セントで終えた。
連邦準備制度理事会(FRB)高官らが9日に追加利上げに慎重な姿勢を示したことを受け、10日の長期金利は4.6%台に下がった。長期金利の低下に好感が広がり、ダウの上昇幅は一時300ドルに迫る勢いだった。
ただ、FRBのウォラー理事が10日の講演で、インフレ率を2%に引き下げることが役割だと発言すると、長期金利がじわりと上昇。米金融引き締めが長期化するとの観測が浮上し、ダウは上げ幅を縮めた。
9日にFRBのジェファーソン副議長やダラス連銀のローガン総裁、前週にはサンフランシスコ連銀のデイリー総裁が足元の長期金利の急上昇で金融環境が引き締まったことを理由に一段の利上げに慎重な見方を示していた。アトランタ連銀のボスティック総裁も10日、「これ以上利上げする必要があるとは考えていない」と改めて主張した。
中東情勢の悪化は市場心理の重荷だったが、状況や展開を見極めたいとする市場参加者は多い。
買いが入っていたシェブロンなどエネルギー株は値を下げた。地政学リスクを意識したエネルギーの供給懸念が和らぎ、原油先物相場が低下したことが背景にある。
10日は相対的に安全な資産とされる米国債が買われた。
金利低下を見た株買いが入り、ダウ平均は290ドルあまり上げる場面があった。
ダウ平均は前週に約4カ月ぶりの安値を付け、8~9月の2カ月間で2000ドルあまり下げていた。「売られすぎ」との見方があり、金利上昇が一服したのを機に目先の戻りを見込んだ買いが入ったとの声もあった。
ダウ平均では航空機のボーイングや飲料のコカ・コーラの上昇が目立った。一方、保険のトラベラーズや製薬のメルクが下げた。
ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比78.605ポイント(0.58%)高の1万3562.844で終えた。電気自動車のテスラや交流サイトのメタプラットフォームズが上げた。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比565円高の3万1820円で終えた。
米長期金利の上昇が一服する中、米株式相場が上昇したほか、日経平均株価は今年最大の上げ幅を記録しておりシカゴ市場で先物には買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
31820 ( +90 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
31855 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7628.21(+136.00)
10日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ136.00ポイント(1.81%)高の7628.21と、終値として約2週間ぶりの高値で終えた。素材や銀行株をはじめ幅広い銘柄に買いが広がった。中東情勢を巡る警戒感は残るものの、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測の後退などを背景に米長期金利が低下し、株価を支えた。中国で新たな景気刺激策が検討されていると伝わったのも、支援材料となった。
素材や銀行株をはじめ資本財、消費財、運輸など幅広い業種に買いが広がった。個別では金融大手HSBCホールディングス、スイスの資源大手グレンコアや日用品のユニリーバなどの上昇が目立った。英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)などを傘下に持つ航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループは、前日は原油先物相場の上昇などが重荷となり下落していたが10日は反発した。
FTSEの構成銘柄のほとんどが上昇した。オンライン食品販売販売大手オカド・グループが6.69%高と上げ幅トップ。鉱業大手アングロ・アメリカンが5.63%高、ブックメーカーのフラッター・エンターテイメントが5.17%高と続いた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15423.52(+295.41)
10日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比295.41ポイント(1.95%)高の1万5423.52で終えた。終値では9月22日以来の高値となる。米連邦準備理事会(FRB)高官の発言などを受けた米長期金利の低下が、投資家心理を上向かせた。中国で新たな景気刺激策が検討されていると伝わったのも、支えとなった。
個別では自動車のBMW、化学のBASF、重電のシーメンスなどの上昇が目立った。
個別では、9割超が上昇。通販大手ザランド(4.62%高)や電力大手RWE(3.57%高)、製薬大手サルトリアス(3.53%高)が買われた一方、商用車大手ダイムラー・トラック(0.73%安)などが売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7162.43(+141.03)
フランスCAC40種指数は2.01%高だった。米連邦準備制度理事会(FRB)高官のハト派的発言を受け、イングランド銀行(中央銀行)も追加利上げをしないとの期待が高まったことも英株の押し上げ要因となった。
