3日ぶり反落140ドル安、米物価統計控え様子見

12日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比140ドル53セント(0.35%)安の3万9357ドル01セントで終えた。

これまで米消費者物価指数(CPI)などのインフレ指標は低下基調をたどっており、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げに踏み切るとの観測が広がっている。7月のCPIも伸び率が鈍るとの見方が強い半面、エネルギー価格の高止まりが続き、「インフレが簡単に収まらない」との警戒感もくすぶる。この日のダウは、リスク回避を目的とした持ち高調整の売りが先行した。

また、中東の地政学リスクも意識され、主力株の一部に売りが出た。ダウ平均の下げ幅は200ドルを超える場面があった。
 
今週は7月の米CPIのほか、13日に7月の米卸売物価指数(PPI)、15日に7月の米小売売上高が発表される。今月に入り、米景気が市場の想定以上に減速しているとの懸念が強まり、株式相場の大幅な調整につながった。景気や金融政策の先行きを見極めるうえで重要な経済指標の発表を前に持ち高調整の売りが出やすかった。
 
中東の地政学リスクへの警戒も投資家心理の重荷となった。イランが近くイスラエルを攻撃するとの観測が高まっており、12日の米原油先物相場が前週末から4%ほど上昇した。中東情勢の悪化が原油高を通じて世界経済や企業業績に影響するとの見方から、売りも出やすかった。
 
ダウ平均は上昇する場面もあった。12日の外国為替市場では円安・ドル高が進み、円キャリー取引の急激な巻き戻しが一服。相場急変に対する過度な警戒が後退し、株式相場の支えとなった。市場では「前週までの株式相場の乱高下は落ち着きつつあるが、中東リスクから相場が再び不安定になる可能性がある」との指摘があった。
 
ダウ平均の構成銘柄では、ボーイングとプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が売られた。インテルやシスコシステムズも下げた。半面、ユナイテッドヘルス・グループやウォルマート、アップルが買われた。
 
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前週末比35.307ポイント(0.21%)高の1万6780.609で終えた。エヌビディアが4%上昇した。一方、アルファベットとテスラは下げた。
NYダウ    39357.01 ( -140.53 )
S&P500    5344.39 ( +0.23 )
NASDAQ  16780.61 ( +35.31 )
米10年債利回り  3.905 ( -0.038 )

NY(WTI)原油   80.06 ( +3.22 )
NY金      2504.0 ( +30.6 )
VIX指数    20.71 ( +0.34 )


【シカゴ日本株先物概況】
 

12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前週末比270円高の3万5545円で終えた。
NYダウ平均は、7月の米消費者物価指数(CPI)発表を週内に控えて様子見姿勢が強まる中、3営業日ぶりに反落した。
この日は中東の地政学リスクが米株式相場の重荷となったものの、ナスダック総合株価指数が上昇するなど米ハイテク株では買われる銘柄も目立ち、シカゴ市場の日経平均先物には買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
35545 ( +495 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
35620 ( +570 )
 
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

12日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、前週末比42.15ポイント(0.51%)高の8210.25で終えた。今週は13日以降に英国や米国の物価・景気指標の発表が相次ぐ。英米の金融政策を予想するうえで一連の指標の内容を確認したいと様子見の雰囲気が広がり、上値を追う勢いは限られた。英シェルなどのエネルギー株や英アストラゼネカといった製薬株など、時価総額が大きい一部銘柄への買いが指数を支えた。

FTSEの構成銘柄では、インド大手企業グループによる株式取得が伝えられた通信大手BTは8.42%高と上昇率トップ。賭け屋大手エンテインが3.98%高、セントリカが3.29%高と続いた。一方、小売り大手のJDスポーツ・ファッションとB&Mヨーロピアン・バリュー・リテールがそれぞれ4.07%安だった。

 

■ドイツ・フランクフルト株価指数

 
12日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に5日続伸し、前週末比3.59ポイント(0.02%)高の1万7726.47で終えた。14日の7月の米消費者物価指数(CPI)など、今週は米金融政策を予想するうえで重要な経済指標の発表が相次ぐ。欧州市場でも内容を見極めたいと様子見の雰囲気が広がり、上値は限られた。
 
個別では、12日公表した2024年1〜6月期決算で純利益が市場予想を上回ったハノーバー再保険が5.23%高、電力大手RWEは1.70%高、防衛大手ラインメタルが1.41%高と買われた半面、医療機器のザルトリウスが2.90%安、不動産大手ボノビアが1.32%安と売られた。

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は反落し、前週末比0.26%安で終えた。米景気後退懸念が根強くある中、今週米国のインフレ指標の発表を控えて様子見ムードとなった。
 

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