3日ぶり反発52ドル高、米消費者物価を好感

10日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶり反発し、前日比52ドル79セント(0.2%)高の3万5176ドル15セントで終えた。

この日朝方に米労働省が発表した7月のCPIは前年同月比3.2%上昇と、13カ月ぶりに前月から加速に転じたものの、市場予想(3.3%上昇)は下回った。インフレ鈍化が示され、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月の金融政策会合で利上げを見送るとの観測が強まったことが相場を押し上げた。
ダウ平均の上昇幅は一時450ドルを超えたが、午後に上げ幅を縮めた。

7月の米CPIの上昇率は、エネルギー・食品を除くコアが前年同月比4.7%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(4.8%)を下回った。市場では「(FRBのインフレ目標である)2%にはまだ遠いものの、ディスインフレ(インフレ沈静化)の傾向が強まっており、投資家心理がある程度改善したようだ」との受け止めがあった。

10日発表の週間の新規失業保険申請件数は24万8000人と、市場予想(23万人)以上だった。労働需給の逼迫が和らぎつつあるとの見方もFRBの追加利上げ観測の後退につながり、株買いが入った。

買い一巡後は上げ幅を縮めた。午後に米財務省が発表した30年物国債入札の結果が「低調」と受け止められ、米債券市場では長期金利が上昇。相対的な割高感が意識された高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に売りが広がった。物価の高止まりで、FRBが利上げを停止した後も政策金利を高い水準にとどめるとの見方は根強く、積極的な株買いにつながらなかった面もある。「高インフレがくすぶる限りは利上げ懸念も残り続ける」との声も聞かれた。

映画・娯楽のウォルト・ディズニーが5%高で終えた。9日夕発表の2023年4~6月期決算で1株利益が市場予想を上回った。アナリストからは動画配信事業などに対して前向きな評価が相次ぎ、ダウ平均を支えた。化学のダウや半導体のインテル、工業製品・事務用品のスリーエムなども買われた。半面、金融のゴールドマン・サックスと製薬のメルクは売られた。

ナスダック総合株価指数は3日ぶり反発した。前日比15.970ポイント(0.1%)高の1万3737.986で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタ・プラットフォームズなどが上昇した。

NYダウ 35176.15 ( +52.79 )
S&P500 4468.83 ( +1.12 )
NASDAQ 13737.99 ( +15.97 )
米10年債利回り 4.106 ( +0.094 )

NY(WTI)原油 82.82 ( -1.58 )
NY金 1948.9 ( -1.7 )
VIX指数 15.85 ( -0.11 )

 


【シカゴ日本株先物概況】

10日のシカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前日比410円高の3万2530円で引けた。NYダウは、7月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回ったことを好感し、3日ぶりに反発した。
同日の東京株式市場で日経平均株価が上昇し、日経平均先物に買いが波及した。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32530 ( -30 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32545 ( -15 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

10日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ31.30ポイント(0.41%)高の7618.60で取引を終えた。10日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比の上昇率が市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化観測が和らいだ。同日の通常取引を開始した米株式相場が堅調に推移すると、買い安心感が広がり、午後にかけて上げ幅を広げた。食品・飲料・たばこや日用品、商業・専門サービスなど消費関連銘柄が買われた。

FTSE100では、約8割の構成銘柄が上昇した。高級衣料バーバリーが2.78%高と上昇率トップ。保険会社ヒスコックスと特殊化学品大手クローダ・インターナショナルが2.77%高と続いた。一方、資源大手リオ・ティントは3.27%安と下落した。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

10日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。前日に比べ143.94ポイント(0.91%)高の1万5996.52で取引を終えた。10日発表の2023年4~6月期決算で、営業利益が市場予想を上回ったのが好感され、独保険大手アリアンツが前日比5%近く上昇した。同業の保険のほか、銀行など金融セクターが買われた。米国の金融引き締め長期化観測が和らいだのも投資家心理を明るくし、自動車や小売り、ヘルスケアなど幅広いセクターが上昇した。

個別では、保険大手アリアンツ(4.90%高)や医療サービス大手フレゼニウス・メディカルケア(4.15%高)、ハノーバー再保険(4.12%高)が買われた一方、総合電機大手シーメンス(4.79%安)、エネルギー大手シーメンス・エナジー(3.11%安)などが売られた。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.52%高だった。
この日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を据え置くとの期待が膨らみ、株価の押し上げ要因となった。

 

株ちゃんofficial xはこちら!
目次