15日午前の日経平均株価は続伸し、午前終値は前週末比293円62銭(0.83%)高の3万5870円73銭だった。
朝方こそ日経平均が3万5000円台半ばで強弱観を対立させもみ合う動きをみせたが、その後は徐々にリスク選好の地合いが鮮明となった。日経平均は前引けにかけて上げ足を強め、前場はほぼ高値引けとなった。前週末の米国株市場でNYダウは反落したものの、日本株には海外投資家とみられる根強い買いが続いている。東証がきょうの取引終了後に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について開示した企業のリストを公表することで、これに期待した先回り的な買いも観測されているようだ。
ただ、このところの日本株の急上昇に伴い、利益確定売りが重荷となる場面もあった。
日経平均は前週末までの5営業日で上げ幅が2200円強に達していたとあって、朝方は短期的な過熱感を警戒した売りが優勢となる場面もあった。ただ、市場では「海外勢を中心に日本株の買い意欲は強い」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役)との声も聞かれ、株価指数先物への断続的な買いがファストリなど現物株を押し上げた。直近の急ピッチな上昇で日本株を買い遅れた投資家も多いとみられ、新たな少額投資非課税制度(NISA)開始などが追い風となり、個人投資家の買い意欲の強さも相場を支えたとの見方もあった。
東京証券取引所は15日の取引終了後、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について開示した企業の一覧表を公表する。国内がデフレ脱却に向かうとの見方も含め、日本経済や企業の変化への期待も支援材料となった。
前場時点で東証プライム市場の7割超が上昇する全面高の展開となっている。今晩の米国市場が休場のため海外投資家の買いは鈍るとの観測のなか、足元の日本株の上昇を受けて、出遅れた投資家が買っている可能性はある。後場もこの勢いが継続となれば、3万6000円台乗せも視野に入ろう。前場マイナスで終えた東エレク<8035>が切り返してくると、日経平均3万6000円の現実味は増すこととなるだろう。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは25.78ポイント(1.03%)高の2520.01だった。JPXプライム150指数は続伸し、9.39ポイント(0.83%)高の1135.00で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆850億円、売買高は7億8707万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1289。値下がりは338、横ばいは29だった。
業種別株価指数(33業種)は海運業、証券・商品先物取引業、その他金融業、鉱業などの上昇率が大きかった。下落は空運業のみ。
個別では、レーザーテック、ディスコ、信越化など半導体製造装置関連が高く、海運の商船三井や川崎汽のほか、三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも買われている。三菱重工業も物色された。このほか、サーラコーポレーションが大きく買われたほか、松屋、立花エレテック、レスターホールディングスなども値を飛ばした。
半面、資生堂やサイバー、ネクソンは下げた。ソニーグループがやや売りに押され、ダイキン工業が軟調。SHIFTが急落、エスプールはストップ安ウリ気配に。ベイカレント・コンサルティングもストップ安水準で張り付いた。
