292ドル高、追加利上げ観測後退 

29日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比292ドル69セント(0.8%)高の3万4852ドル67セントで終えた。

この日発表された7月の非農業部門求人数や、米消費者景気信頼感指数はいずれも市場予想を下回った。これを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に追加利上げを行うとの見方が弱まり、長期金利が低下。幅広い銘柄に積極的な買いが入った。株式の相対的な割高感が薄れて幅広い銘柄が買われた。ダウ平均の上げ幅は300ドルを超える場面があった。

29日午前に発表された7月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数は882万7000件と、2021年3月以来の低水準となった。リフィニティブがまとめた市場予想(946万5000件)を下回った。
8月の米消費者信頼感指数は106.1と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(116.0)以下となった。同調査では雇用機会が「豊富にある」と答えた消費者の割合は21年4月以来の低水準だった。

FRBは今後の政策決定は経済データ次第とするなか、市場ではインフレ抑制に向けて「正しい方向にある」(オアンダ)との見方が強まった。労働需給の引き締まりが和らぎつつあるとの観測から、米金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」では9月と11月の会合で政策金利を据え置く確率がともに前日から上昇した。

米長期金利は一時、前日比0.10%低い(債券価格は高い)4.10%を付けた。高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に買いが入りやすくなり、ダウ平均の構成銘柄ではスマートフォンのアップルが2%上昇した。FRBが米景気後退を避けてインフレを抑え込めるとの楽観を背景に景気敏感株や消費関連株も買われ、スポーツ用品のナイキや金融のゴールドマン・サックスなどが高い。アナリストが投資判断を引き上げた通信のベライゾン・コミュニケーションズは3%高となった。

週内は注目度の高い経済指標の発表が多い。30日は8月のADP全米雇用リポート、9月1日には8月の雇用統計と雇用関連指標も相次ぐため、内容を見極めたい雰囲気もあった。米国では3連休の週末を控えて夏季休暇を取る市場関係者が多く「薄商いで相場の振れが通常時以上に大きくなりやすい面があった」との声も聞かれた。

ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比238.626ポイント(1.7%)高の1万3943.757で終えた。主力株が軒並み買われた。電気自動車のテスラは8%近く上げた。エヌビディアが4%高となるなど、半導体関連株の上昇も目立った。

 


【シカゴ日本株先物概況】

29日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比140円高の3万2420円で引けた。
この日発表された米経済指標の内容が弱く、米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げ観測が後退した。
観測が和らいだことで同日の米株式相場が上昇し、日経平均先物にも買いが入った。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32420 ( +210 )

シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32425 ( +215 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7464.99(+126.41)

休場明け29日のFTSE100種総合株価指数は大幅に5日続伸した。前週末25日に比べ126.41ポイント(1.72%)高の7464.99で取引を終えた。中国当局による市場活性化策への期待が投資家心理を押し上げた。需要回復への思惑から資源やエネルギーセクターが買われたほか、金融や消費財など幅広い銘柄に買いが入った。

FTSEの構成銘柄では、オンライン食品販売大手オカド・グループが5.45%高、住宅大手パーシモンが5.27%高、医療機器大手スミス・アンド・ネヒューが5.12%高と大きく買われた。一方、大衆医薬品のヘイリオンは0.35%安、小売り大手B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールは0.32%安、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは0.13%安だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15930.88(+138.27)

29日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸した。前日に比べ138.27ポイント(0.88%)高の1万5930.88で取引を終えた。中国当局による市場活性化策への期待が継続したほか、ドイツ長期金利の低下が好感され、投資家心理が上向いた。DAX指数を構成する40銘柄のうち36銘柄が上昇するなど幅広い銘柄が買われた。

個別では、通販大手ザランドが3.06%高、不動産大手ボノビアが2.94%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.71%高。半面、日用品大手ヘンケルは0.72%安、ハノーバー再保険は0.48%安、商用車大手ダイムラー・トラックは0.46%安と下げた。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7373.43(+48.72)

フランスCAC40種指数は0.67%高だった。
米追加利上げ観測が後退したことも株価の支援材料だった。

 

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