291円と続落、円高で自動車株に売り

 
 
11日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比291円83銭(0.81%)安の3万5867円33銭だった。
前日のNYダウは、金融株や石油関連株などが下落し92ドル安と反落した。この流れを受け、東京株式市場も値を下げてスタート。日経平均株価の下落幅は一時400円を超え3万6000円台を割り込んだ。その後、値を戻す場面があったが、為替相場が一時1ドル=141円台半ばに円高が進行したことが嫌気され再び軟調な展開となった。半導体関連株や自動車株などが安い。
 
米連邦準備理事会(FRB)が来週17〜18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切るとの見方を背景に米長期金利が低下し、前日には一時3.63%と2023年6月以来の低水準を付けた。日米金利差の縮小を意識した円買い・ドル売りが再び活発になっている。日銀の中川順子審議委員が秋田県の金融経済懇談会で追加利上げに前向きな姿勢を示したと市場の一部が受け止め、円買いが入ったとみられている。トヨタやスズキといった自動車株などが売りに押された。
 
円高で日本株に下押し圧力がかかるなか、今週末には株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(SQ)算出を控えており、海外投機筋が先物売りを強める場面もあった。
 
半面、日経平均は前日までに6日続落し、値ごろ感に目を付けた国内投資家などからの買いが入り、下げ幅を縮小する場面もみられた。円高メリットのあるニトリHDが買われたほか、前日の米ハイテク株高を支えに東エレクやソフトバンクグループ(SBG)は上昇した。
 
11月の米大統領選に向けたテレビ討論会が米東部時間10日午後9時(日本時間11日午前10時)から東部ペンシルベニア州の最大都市フィラデルフィアで開催されている。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領は論戦を交わしているが、いまのところ株式市場で織り込む動きは限られている。米株価指数先物は日本時間11日の取引で、小幅安で推移している。
 
 
9月上旬、高田創審議委員が金沢市での金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」との基本姿勢を強調していたことから、ほぼその流れを踏襲した内容だが、市場は「利上げに前向き」と捉えたもよう。後場の日経平均は、為替を睨んでの展開となるが、同時に行われていた米大統領選挙のテレビ討論会の内容なども見極める必要もあろう。後場の株式市場、為替市場、金利市場は荒い値動きを見せる可能性もあるだろう。
 
 


 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは前日比23.74ポイント(0.92%)安の2552.80だった。JPXプライム150指数も続落で前場を終えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7477億円、売買高は8億4757万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1301と全体の約8割を占めた。値上がりは308、横ばいは33だった。
 
全業種が下落するなか、鉱業、電気・ガス業、石油・石炭製品、鉄鋼、輸送用機器の下げが目立った。
 
個別銘柄では、原油価格の下落を受けて、INPEX、出光興産、ENEOSホールディングスと資源関連の一角が売られたほか、為替の円高進行が嫌気されて、三菱自、SUBARU、日産自、いすゞ自、日野自など自動車株がさえない。レーザーテックやディスコ、アドバンテストが安く、三菱重工業や三井住友フィナンシャルグループが軟調だった。このほか、東急不動産HD、サッポロHD、アマダ、イオンなどが売られた。
 
半面、国内証券会社が目標株価を引き上げたことから富士通が上昇し年初来高値を更新したほか、ソフトバンクグループ、三井物産、第一三共が高く、ナスダック上昇を受けて、ソシオネクスト、東京エレクトロンなど半導体株の一角が上昇。ソニーグループも値を上げた。
このほか、ヤマトHD、フジクラ、信越化、ニトリHD、キーエンスなどが買われた。

 

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