17日午前の日経平均株価は続落し、前日比287円92銭(0.91%)安の3万1478円90銭で前場を終えた。
朝方から買い手控えムードが強く、日経平均は前日の急落に続き下値模索の動きとなった。前日の米国株市場では米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化することへの警戒感が再燃、米長期金利の上昇を背景にハイテク株が売られ、主要株価指数は揃って下落した。東京株式市場でも、これを引き継ぐ形で目先リスク回避目的の売りがかさんでいる。外国為替市場で円安が進行しているが、これをポジティブ視する動きは特にみられなかった。景気減速への懸念が高まっている中国では上海総合指数が軟調で、香港ハンセン指数も下げ止まらず投資家のセンチメントを冷やしている。
ファストリなど日経平均への寄与度が大きい銘柄への売りが目立った。
日経平均は下げ幅を広げ、一時450円超の下落となった。中国景気への懸念が根強く、17日の香港ハンセン指数が大きく下げて始まると、東京市場でも売り圧力が強まった。市場では「アジアの投資家が換金売りやヘッジ売りを出しているようだ」との声が聞かれた。
外国為替市場では円の対ドル相場が1ドル=146円台半ばとおよそ9カ月ぶりの安値となった。ただ、自動車など輸出関連銘柄を買う動きは限られた。円相場が政府・日銀による円買い介入が意識される水準で「輸出関連に買いを入れにくい」との見方があった。
海外投資家の夏休み入りに加え、来週の国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を前に、相場は引き続きボラティリティー(変動率)の高い神経質な展開が続きそうだ。こうしたなか、株式ポートフォリオのリスクを最小化するような戦略を用いた「iシェアーズMSCI日本株最小分散ETF(上場投資信託)」に組み入れられている銘柄への投資などに妙味がありそう。
また、薄商いのなか、流動性リスクは気がかりではあるが、中長期目線として割り切れるのであれば、終わったばかりの4-6月期決算で良好な内容が確認されたにもかかわらず、足元の地合い悪化で必要以上に売られている中小型株などにも妙味があろう。
東証株価指数(TOPIX)は21.23ポイント安の2239.61は続落して午前の取引を終えた。JPXプライム150指数も続落した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7339億円、売買高は7億1728万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1534と、全体の8割を占めた。値上がりは250銘柄、横ばいは51銘柄だった。
業種別株価指数は33業種すべて下落し、精密機器、鉄鋼、パルプ・紙、卸売業、鉱業の下落率が大きかった。
個別ではレーザーテックが安く、川崎汽船も値を下げた。三菱商事が下値を探り、ファーストリテイリングも軟調。日本製鉄、テルモやHOYAが安い、資生堂やニデックの下げ足も目立っている。Appier Groupが急落、メドピアも大幅安。低位株ではペッパーフードサービスが大きく下落した。
半面、信越化やSUBARUが高い。電通グループやファナックが買われた。ダイキン工業が底堅さを発揮、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスも買いが優勢。メルカリも高い。三栄建築設計が急伸、河西工業も物色人気となっている。
