31日午前の日経平均株価は反発した。前日比263円82銭(0.95%)高の2万8046円75銭で終えた。取引時間中として2万8000円を上回るのは3月10日以来、3週間ぶり。
前日のNYダウが上昇したことも追い風となり、2万8000円台を回復してスタートした。
円相場は一時1ドル=133円台半ばと2週間ぶりの円安水準まで下落した。円安が進行したことも買い安心感を呼んだ。日経平均株価は一時340円を超す上昇となったが、買い一巡後は売りに押され上昇幅はやや縮小した。
金融システム不安が後退するなか欧米株が上昇した流れを引き継いだ。足元の円安基調や鉱工業生産指数が市場予想を上回ったことも投資家心理を上向かせ、前場を通して堅調に推移した。
経済産業省が31日発表した2月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は前月比4.5%上昇の94.8と、QUICKが集計した民間予想値の中央値(2.7%上昇)を上回った。先行きの生産改善も期待されるなか、トヨタなどの輸出関連株が堅調に推移した。
PBR(株価純資産倍率)1倍を下回る企業に対する東証の改善要請方針を背景にバリュー(割安)株も強かった。三井物は6%超高、日本製鉄は4%高などとなった。
一方、東エレクやスクリンといった半導体関連の一角は下落した。政府は午前、先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の規制対象に加えると発表した。中国向けの輸出が難しくなるとの見方から売りが出た。
東京証券取引所が株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求め、早ければ31日にも企業に通達すると報じられた。加えて、三井物産や日本製鉄に個別でポジティブな報道があったこともあり、東京株式市場ではバリュー(割安)株の多い景気敏感株を中心に大幅高となっている銘柄が多い。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆4949億円、売買高は5億6927万株だった。東証株価指数(TOPIX)も上昇した。東証プライムの値上がり銘柄数は1244。値下がりは516銘柄、変わらずは74銘柄だった。
業種別株価指数(全33業種)では鉄鋼、卸売業、精密機器の上昇が目立った。下落は海運業のみ。
個別銘柄では、レーザーテックやアドバンテストといった半導体関連株が高く、ソフトバンクグループや日本製鉄、円安を追い風にマツダ、日産自、豊田自動織機などの輸送用機器が上昇。テルモ、ソフトバンクG、Jフロント、凸版も高かった。
半面、前日引けにかけて急速に配当落ちを埋めた川崎汽船や郵船の海運が一転して大きく続落。マルマエは大幅減益決算に対して素直に売りが先行。メルカリやSMCが軟調だった。カシオ、京成は下落した。
