【大引け概況】
米株式市場の動向を横目に、19日の日経平均株価は続伸して取引を開始した。前場は半導体関連に買いが入り指数を後押しし、為替は円安ドル高の動きが一部見られ、輸出企業にとって追い風となった。ただ、朝方に一時上げ幅500円を超えた後は短期的な過熱感を警戒した売りが出て伸び悩んだ。後場には、日銀が金融政策決定会合で、保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)を市場で売却すると決めたことから投資家心理が悪化、マイナス圏に転落して下げ幅を広げた。その後は、植田日銀総裁の記者会見での発言内容を見極めたいとの様子見姿勢も強まり、下げ幅を縮小する動きも見られた。
市場では「このタイミングでのETF売却の発表はサプライズだった。さらに、政策委員のうち2人が利上げを主張したため、10月利上げの思惑が強まり株売りを誘った」。発表直後はニュースのヘッドライン(見出し)に反応するシステム売買の主体が株価指数先物に売り圧力を強め、一時は売りが売りを呼ぶ展開となった。
日経平均は一時的に下げ幅を広げた後、落ち着く展開となった。市場関係者は「日銀が保有するETFをすべて売り切るには100年以上かかる計算だ。普通に考えればきょう、明日の日本株市場の需給に大きく影響する規模ではない。今日の市場の反応は極端過ぎる」との見方を示した。
顧客向けメモで処分方針の発表後に日経平均が大きく下落した理由について「このところの最高値更新で相場に過熱感が出ていたため」と説明した。日経平均は今月に入り6%強上昇しており、前日も過去最高値を更新していた。短期的な過熱感が警戒されていた局面で、投資家が利益確定売りの口実を探していたところに、処分売りの発表があり、大きめの下げになったようだ。取引終了にかけてはこれまでの上昇相場に出遅れて気味だった投資家からの押し目買いも入り、日経平均は下げ幅を縮小して終えた。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。終値は11.19ポイント(0.35%)安の3147.68だった。JPXプライム150指数も反落し、6.91ポイント(0.51%)安の1359.31で終えた。
東証プライムの売買高は30億3750万株だった。売買代金は8兆7515億円と7月23日(7兆1081億円)を上回り、今年最大となった。東証プライムの値下がり銘柄数は917。値上がりは649、横ばいは52だった
業種別株価指数(33業種)は、精密機器、その他製品、サービス業などが下落。卸売業、銀行業、証券・商品先物取引業などは上昇した。
個別銘柄では、ファーストリテイリングが売られ、TDKやリクルートホールディングスが下落した。任天堂やソニーグループ、キーエンス、SMCが軟調。トヨタ自動車や日立製作所、サンリオが安く、ソシオネクスト、キヤノンも値を下げた。
半面、レーザーテックやアドバンテスト、東京エレクトロンが高く、ソフトバンクグループも堅調。三菱商事、中外製薬、フジクラ、古河電気工業が上昇し、IHIや川崎重工業が買われた。さくらインターネットや東京電力ホールディングスが値を上げた。
