9日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比249ドル13セント(0.7%)安の3万3699ドル88セントで終えた。米長期金利が上昇し、相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)を中心に売りが優勢だった。来週に重要な米経済指標の発表を控え、持ち高調整の売りも出やすかった。
米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーが前日公表した2022年10~12月期の決算は増収増益。経費圧縮に向けた人員削減策も打ち出されたのが好感され、同社株は大幅高で推移し、取引序盤のダウの上げをけん引した。
ただ、前週末の強い米雇用統計を受け、市場では年内の利下げ転換観測が後退している。9日の米債券市場では長期金利が前日終値(3.59%)から水準を切り上げ、一時は3.69%を付けた。幅広い年限の債券利回りが上がり、株式相場の重荷となった。
来週には1月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える。FRBの利上げペースにも影響を与えるだけに内容を見極めたいムードが強い。主要企業の決算発表が一巡した後でもあり、持ち高調整の売りが出た。
業種別では、通信が前日に続いて急落。アルファベットがこの日も売り込まれた。素材、公益、金融も軟調だった。
金融のゴールドマン・サックスや半導体のインテル、ホームセンターのホーム・デポが下落した。一方、物言う株主の株取得が伝わった顧客情報管理のセールスフォースは上昇した。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比120.941ポイント(1.0%)安の1万1789.579で終えた。検索サイトのアルファベットが連日で大幅安となった。
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比145円高の2万7540円で引けた。
米株は続落。上昇してスタートしたものの、米10年債利回りが上昇したことや、アルファベットが大幅続落したことでハイテク・グロース株を中心に売りが強まった。
ここ3日間の日経平均の下落で値ごろ感に着目した買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27540 ( +10 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27560 ( +30 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7911.15(+25.98)
9日のFTSE100種総合株価指数は小幅に続伸した。前日に比べ25.98ポイント(0.33%)高の7911.15と、過去最高値で取引を終えた。ブルームバーグ通信が9日、アラブ首長国連邦(UAE)のファースト・アブダビ・バンクが銀行大手のスタンダードチャータードを買収する可能性を探っていると報じたことをきっかけに、スタンダードチャータード株が一時前日比12%超上げ、指数上昇をけん引した。
9日に2023年の増益見通しを発表した製薬大手のアストラゼネカに買いも入り、医薬品株の上昇も追い風となって連日で過去最高値を更新した。
構成銘柄の約5割が上昇。他では、石油大手BPは2.3%高、高級衣料バーバーリーも1.4%高だった。一方、賭け屋大手エンテインは14.0%安と急落した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15523.42(+111.37)
9日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比111.37ポイント(0.72%)高の1万5523.42で終えた。9日発表された1月の独消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る結果となり、インフレのピークアウトが意識され投資家の買い安心感につながった。
個別では、2022年10~12月期決算で23年の収益見通しを引き上げた重電大手のシーメンスが大幅高となったことも相場を支えた。6.7%高で上昇率で首位。ヘルスケア大手フレゼニウスは4.0%高、シーメンス・エナジーも2.7%高となった。半面、製薬大手バイエルは3.3%安、人工透析企業フレゼニウス・メディカルケアは2.9%安、シムライズは2.5%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7188.36(+68.53)
フランスCAC40種指数は0.96%高だった。決算が好調だった銘柄を中心に買いが入った。
