6日午前の日経平均株価は続伸し、前日比225円72銭(0.68%)高の3万3262円48銭で前場を終えた。午前の外国為替市場で1ドル=147円台後半まで円安・ドル高が進んだことから輸出企業の業績改善期待が高まり、自動車株や電気機器株などを中心に買われた。サウジアラビアの減産延長による原油高を受け、石油関連株も高かった。
きょう前場は引き続きリスク選好の地合いとなっている。前日の欧州株市場では主要国の株価指数が総じて軟調だったほか、米国株市場でも長期金利の上昇を背景に上値の重い展開でNYダウが反落した。東京市場では前日まで日経平均が7日続伸していたこともあり、欧米株安を受け利益確定売り圧力も意識されるところだったが、外国為替市場で円安が進行していることを受け、輸出株を中心に強さを発揮する格好となった。ただ、内需株の一角が売られたことなどもあり、値上がり銘柄数は1000あまりで全体の55%にとどまっている。
市場関係者は、「足元の米経済指標は市場想定を上回る結果が多く、米景気の軟着陸(ソフトランディング)期待が一段と強まっていることも日本株買いを後押ししている」とみていた。
これまでのディスインフレの主因は原油などのコモディティ価格の下落だろう。そのコモディティ価格の筆頭格でもある原油市況が上昇に転じていることを踏まえれば、今後インフレは米連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2%を大きく上回る水準で下げ止まる、もしくは再び上昇していく可能性もあると考えられる。
そのようなシナリオが実現すれば、追加利上げ観測が再び台頭し、利上げサイクル終了期待やソフトランディング期待も後退しかねない。来週は米国で消費者物価指数(CPI)などの物価指標の発表があり、その後は日米の金融政策決定会合が開催される。CPIの結果次第では、相場は一気に警戒モードに転換する可能性がある。東京市場も、今週末の9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)以降も、足元の強い基調が維持されるかについては注意深く見極める必要があろう。
東証株価指数(TOPIX)は15.49ポイント高の2393.34は続伸した。JPXプライム150指数も続伸し、前引けは5.74ポイント(0.55%)高の1058.36だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆8057億円、売買高は7億1556万株だった。東証プライム市場の値上がり銘柄数は1007、値下がりは738、変わらずは89だった。
業種別株価指数(33業種)は鉱業、輸送用機器、保険業、石油石炭製品などが上昇。下落は海運業、倉庫・運輸関連業など。
個別では、為替の円安を追い風にトヨタ自、ホンダ、デンソーなど自動車関連が上昇。マツダは国内証券のレーティング格上げも寄与し大幅高。サウジアラビアとロシアの減産延長を受けた原油高を背景にINPEX、石油資源開発、出光興産が高い。
主力どころでは三菱重、川崎重の上昇が目立つ。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクが堅調、高知銀行、池田泉州など地銀株が軒並み上昇しており、山口FGは国内証券のレーティング格上げも寄与して急伸。岡三、SBIの証券、MS&AD、第一生命HDの保険など金融関連が高い。アドバンテスト、村田製、イビデンなどハイテクの一角の上昇も目立っている。ダイキン、伊藤忠も買われた。国内証券のレーティング格上げが観測された住友ゴム、山崎製パンが上昇している。
一方、川崎汽船、郵船の海運のほか、三菱製紙、大王製紙のパルプ・紙、トプコン、朝日インテックの精密機器、ライフドリンクC、アサヒ、日清粉Gの食料品、AZ丸和HD、西日本鉄道の陸運、チヨダ、クリレスHDの小売など、内需系が全般軟調に推移している。
ネクステージはストップ安ウリ気配となっている。エムアップホールディングス、ネットプロテクションズホールディングスなども下落した。
