10日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前週末比208円68銭高の3万7095円85銭だった。
きょう前場は朝方やや買い優勢で始まったものの、日経平均はその後にいったん下値模索の動きとなった。しかし、前場半ば以降に再び戻り足を強めた。日経平均は前引け時点で200円あまり上昇し3万7000円台に乗せている。トランプ米大統領が米メディアのインタビューで景気後退の可能性を明確に否定しなかったことが報じられ、東京株式市場でも先物主導で売りを誘ったが、日経平均は前週末に800円超の下落をみせていたこともあり、下値では買い戻しや押し目買いの動きが活発化した。外国為替市場ではドル安・円高に振れているが、半導体関連株などへの買い戻しが優勢となったことで投資家のセンチメントを支えた。
前週末7日の米株式市場は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米景気について堅調との認識を示すなか、NYダウ工業株30種平均など主要3指数が上昇した。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も大幅高となり、東京市場でもディスコやソフトバンクグループ(SBG)などの買いを誘った。
日経平均は売り優勢に転じて下げ幅は180円ほどに広がる場面もあった。日本時間10日午前の取引で米ナスダック100指数の先物「Eミニ・ナスダック100」をはじめ米株価指数先物が軟調に推移し、投資家心理の重荷となった。トランプ米大統領が9日の米FOXニュースのインタビューで景気後退の可能性を明確に否定せず、米株先物に売りが出た。
後場の日経平均株価は、上値の重い展開が継続しそうだ。日銀の追加利上げ観測が強まり日本の金利は上昇傾向にあるなか、為替市場で1ドル=147円台までドル安円高が進行して大型株の重しとなっている。日経平均は先週末に約半年ぶりに3万6000円台で取引を終えており、投資家は積極的な買いを手控えている様子。このような状況下で防衛関連株は利食い売りが広がっているが、先週一定の強い値動きを見せた。
本日は、今後グローバル規模で防衛用航空機の需要が高まることが予想されて商機拡大の可能性が意識された大阪チタニウムテクノロジーズや東邦チタニウムが急騰している。トランプ交渉の材料の一つとして「防衛費増額」が加わったことで、防衛関連銘柄への思惑相場は長期化する可能性もあるため、防衛関連株の動きには引き続き注目が集まりそうだ。
業種別では、鉱業、ゴム製品、輸送用機器などが上昇した一方で、その他製品、鉄鋼、空運業が下落した。
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは5.95ポイント(0.22%)高の2714.54だった。JPXプライム150指数は反発し、2.78ポイント(0.24%)高の1178.17で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9337億円、売買高は7億8250万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は944。値上がりは624、横ばいは69だった。
個別では、ディスコが商いを伴い大きく買い戻されたほか、レーザーテック、アドバンテストも上昇した。ソフトバンクグループも買いが優勢だった。セブン&アイ・ホールディングスがしっかり、オリエンタルランドも値を上げた。三菱UFJや三井住友などの金融株などは堅調に推移。また、トヨタ自動車、リクルートHD、東京電力HDなどが上昇した。ほか、業績・配当予想上方修正と子会社の上場準備を発表した日駐が急騰、東邦チタニウム、日本ヒューム、大阪チタニウムテクノロジーズが大幅高で値上がり率首位。低位株では日本駐車場開発の物色人気も目立つ。
一方、前週末に物色が向かっていた三菱重工業、川崎重工業、IHIなどの防衛関連株が軟調に推移、ファーストリテ、フジクラ、任天堂、キオクシアホールディングス、ディーエヌエー、ソニーグループ、日立、中外薬や良品計画などが下落した。ほか、上半期下振れ決算をマイナス視されたアイルが急落、良品計画、アシックス、タダノなどがとなった。
半面、売買代金トップとなった三菱重工業が冴えず、IHIも下げるなど防衛関連株が利食われた。任天堂が下値を試す展開となり、サンリオの下げも大きい。アイルが急落、良品計画、アシックスも大きく水準を切り下げた。
